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島根県障がい者就労支援フォーラム2011 レポート

日時: 平成23年12月10日(土) 10:00~16:00

会 場: 島根県立男女共同参画センター あすてらす

共 催:
島根県/島根労働局/島根障害者職業センター/社会福祉法人亀の子/島根県内障害者就業・生活支援センター/障害者就労支援センター

後援: 大田市/大田商工会議所/石見大田公共職業安定所/浜田公共職業安定所川本出張所

参加者: 319名


<第一部> 基調講演 まとめ
日 時: 10:00~12:00

テーマ『株式会社ダックス四国の障がい者雇用の取り組み』
~障がい者は少しの不自由さを持った同じ人間~
講師 株式会社ダックス四国
代表取締役社長 且田 久雄 氏

参加者: 288名 

全体司会:島根県健康福祉部障がい福祉課 米川 久美子氏

➢ 且田社長の経歴の紹介
➢ 障がい者雇用への取り組み
・障がいに対し先入観を持たない
・働く環境(映像紹介)
・障がい者雇用について
・従業員(当事者)の話

【感想】
 且田社長がこれまでの経験で社会や親の障がいに対する誤った知識や先入観によって、障がい者であると言うことで何もしてこなかったことが障がい者を作ってきたのではないだろうか?きちんとしたしつけ・指導をすることで重度・軽度に関わらず短期間のうちで仕事が出来るまでになった経緯・実績を基に、私達が今までの障がいに対する誤ったとらえ方や考え方によって、社会が障がいを黙認してきたことにより「障がい者はつくられる」と言及され、できないと言う決めつけをしない・可能性を伸ばすことが大事であると障がい者雇用を実践され、また、健常者・障がい者の区別なく同僚として正規雇用をするなど就労意欲・仕事に対する勤労意欲を高められるなど、障がい者雇用の在り方を聞くことが出来てとても参考になりました。

島根県障がい者就労支援フォーラム2011島根県障がい者就労支援フォーラム2011


<第2部>
日時: 13:00~16:00

○第1分科会 パネルディスカッション まとめ

テーマ『障がい者のはたらくを考えよう』
~ どうすれば障がい者雇用をすすめることができるのか ~

参加者: 171人

全体司会: 島根県商工労働部雇用政策課 井田千尋 氏

(まとめ)
 ファシリテーター出雲障がい者就業・生活支援センターリーフ 所長 高木 加津枝 氏の進行によるパネリストの事例発表を前半、テーマに沿った課題についてパネルディスカッションを後半に行う。後半のパネルディスカッションには株式会社ダックス四国の且田社長と従業員さん、サービス管理責任者の且田様に助言者としてご助言いただく。

【前半 13:00~14:45】
 事例発表者
  ①「障がい者雇用に取り組んできた事例」
     島根ナカバヤシ株式会社 平田工場 工場長    福田 善久 氏
     島根ナカバヤシ サンワークス株式会社 主任   園山 英俊 氏
     島根ナカバヤシ サンワークス株式会社 従業員
     島根ナカバヤシ サンワークス株式会社 従業員
  ②「福祉事業所として障がい者のはたらくを支えた事例」
     社会福祉法人はぴねす福祉課 益田市障害者福祉センター あゆみの里
                 地域生活支援事業部長  中尾 公子 氏
  ③「石見養護学校の一般就労に向けての取り組みと特徴」
   島根県立石見養護学校 進路指導部 部長     光田 拓雄 氏

【後半 15:00~16:00】
 パネリスト:
  島根ナカバヤシ株式会社 平田工場 工場長    福田 善久 氏
  島根ナカバヤシ サンワークス株式会社 主任   園山 英俊 氏
  島根ナカバヤシ サンワークス株式会社 従業員
  島根ナカバヤシ サンワークス株式会社 従業員
  社会福祉法人はぴねす福祉課 益田市障害者福祉センター あゆみの里
               地域生活支援事業部長  中尾 公子 氏
  島根県立石見養護学校 進路指導部 部長     光田 拓雄 氏
  

 ファシリテーター:出雲障がい者就業・生活支援センターリーフ 所長 高木 加津枝 氏
 助言者:
   株式会社ダックス四国 代表取締役社長 且田 久雄 氏
   株式会社ダックス四国 福山工場 従業員
   株式会社ダックス四国 福山工場 サービス管理責任者 且田 久美 氏

◎ファシリテーター高木氏によるパネリストへの質問
 (ナカバヤシ福田工場長、園山主任)
  ・障がい者雇用に踏み切った一番の理由。
  ・面接や実習を行う上で気をつけられた点、不安だった点は何か。
 (ナカバヤシ足立様、出羽様)
  ・実際に働いてみて困ったことや大変だったこと、また嬉しかったことは何か。
 (石見養護学校光田教諭)
  ・一般就労を目指す生徒につけておく力で大切にされていることは何か。
  ・小規模校の中で、職場開拓で工夫されていることは何か。
 (あゆみの里中尾様)
  ・障がい者の「働きたい」という思いにどのように関わっているか。
  ・本人、企業へ安心感を持ってもらうことが事例のポイントでしたが、安心感についてもう少し詳しくお聴かせ下さい。
 (且田社長)
  ・就職を目指すまでのところで大切にすべき考え方や方法について助言をお願いします。
 (ナカバヤシ福田工場長、園山主任)
  ・現場での社員の理解や協力について何か工夫されたことは。
  ・従業員の変化や驚いたことなどは何か。
  ・支援者に求めることは何か。
 (光田教諭、中尾様)
  ・人間には「働く権利」「働く義務」があるかと思いますが「障がい者が働くことについて」どうお考えですか。
 (福田様、園山様)
  ・会場にお越しの企業の皆様へ一言
 (従業員様)
  ・これからの目標や夢を聞かせてください。
 (中尾様、光田様)
  ・会場の教育機関、福祉施設へエールを。
 (従業員様)
  ・これからの目標、夢
 (且田社長)
  ・障がい者雇用について、どうしたら障がい者雇用が進むか、島根県にエールをお願いします。

【質疑応答】
 利用者2名より質問あり

【全体を通して】
 障がい者がはたらくことについて、それぞれの立場からの取り組み状況や考え方、方法論について意見が出された。
 ダックス四国の取り組み、考え方は。
  ・「仕事がやりたい、働きたい」という気持ちが一番大切。できるできないで判断しないことが大切。できないなら他の人が助けてあげればいい。
  ・自ら身辺整理ができればいい。挨拶ができなくてもいい。必要性を理解してできる人はすればいい。
  ・健常者(従業員)も障がい者という捉え方ではなく、同僚という捉え方をしている。
  ・怒られるのではく叱られる経験を。
  ・企業はできるできないの判断ではなく、できるように育てるのが企業の役割。
  ・障がい者も消費者でなくてはならない。
  ・就職後気をつけなくてはならないことは、詐欺にあわないように気をつけなくてはならない。
  ・社会生活の危険の中で働く経験を通して彼らは成長していくもの。無菌の中では成長しない。彼らは、挑戦をしたい思いがある。支援者の中には「無理をしなくてもいいよ」「このままでいいよ」という方もいるが、彼らは無理をしたいし苦しい思いをしたいし、挫折もしたいし、頑張りたい。そのためには「働くこと」によってその挑戦ができる。その結果成長できる。その点、スタッフがどう伝えていけるか、正当に評価をし正当に叱っていけるかが必要。
  ・倉田さんも自動車免許を12回挑戦して合格。当事者が休まない会社、休みたくない会社にしたい。
  ・親が子に伝えることは「安心感」「自己肯定感」「勤労意欲」。
  ・保護者が「働いてほしい」という思いがなければ絶対だめ。親ができないと思えばだめ。
  ・特別支援学校高等部を卒業してすぐに就職をする方がよい。小・中・高と12年間ずっと生活リズム(朝起きてから夕まできちんと活動を行うリズム)がきちんとできているので、働く基礎ができている。これが福祉施設に入ってしまうと朝遅く夕早くというリズムになり、生活リズムが崩れてしまう。

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○第2分科会 ~障がい者向け社会人マネーセミナーについて学ぶ~ まとめ

テーマ『ビジネスマナーの基本を学ぼう』
講師: P‐Create  代表 松下 香寿美 氏

参加者: 104人

1.接遇・ビジネスマナーの意義と印象管理の重要性
・マナーとは、相手を大切にする「心」を「形」にして表現する方法
・ビジネスマナーとは、ビジネス・コミュ二ケーションスキルであり潤滑油
・あなたの印象が会社の印象(会社の好感度・信頼性に影響)
・相手を大切にすることは、自分を大切にすること(出したものが返ってくる)
・印象管理は信頼づくり(ラポール)の基本

【ポイント】
メラビアンの法則で見た目の印象は55%、声の感じは38パーセント、話の内容は7%と言うお話をされる、相手が話をするときも相手の顔から視線をそらさないようにするためには、ずっと目に集中するのはしんどいので目だけでなく、鼻、口、と顔の中ならどの部分でも良い。自分から笑顔を作ると、相手も笑顔になる。
第一印象の決定時間は平均6秒と、とても短い時間で決まってしまう。

2.身だしなみ
・身だしなみの心得
 会社などの入社の時など、入所する前は気になるが、入社してしまえばそれを忘れてしまうので、常に意識をもつ。
 老若男女100人いれば、100人からOKと認められるものが身だしなみ。
・身だしなみの5原則
 ①清潔 ②健康 ③機能的 ④控えめ ⑤組織や仕事イメージ
・身だしなみチェック
 頭髪、体・顔、衣類・その他、について17項目をとなり同志お互いチェックしあった。

3.心の伝わる挨拶
・心の伝わる挨拶のポイント
 あ=明るく、い=いつでも誰にでも、さ=先に、つ=続けてひとこと(真心が伝わるように)
 笑顔になるための言葉 「ウイスキー」と言うと笑顔になる。
 口角を上げるとセロトニンが出て、Happy、ポジティブになる。
・挨拶対応用語とお辞儀
 同時礼と分離礼について学ぶ 会釈、普通礼、敬礼の違いについて学ぶ。

4.ことばづかい
・敬語の形式~尊敬語、謙譲語、丁重語、丁寧語、美化語について学ぶ
・よく用いられる尊敬、謙譲表現
・口調を柔らかくするクッションことば、ビジネス枕詞
・お願いするときの表現~クッション言葉(恐れ入りますが)を使う
・お詫びするときの表現~クッション言葉(申し訳ございません)を使う

5.来客対応マナー
・案内の仕方~対面案内、先導案内(その場まで自分がお連れする)
・ドア・エレベーター・階段での案内~基本お客様が先に入り、先に出る
・席次(上座)の基準は~椅子の格、出入り口から遠い所、景観や居心地の良さ、和室は床の間の前、その他は右側を基本とし、応接室や乗り物、階段を上がるとき、エレベーターの中での立ち位置を認識する。
・お茶のおもてなし~お茶の出し方、入れ方について学ぶ

【感想】
参加者と一緒に学ぶなかで、何度か身振り手振りで先生と一緒にやってみたりした、顔の表情「ウイスキー」で笑顔になるという事やお客様をご案内する手の出し方、挨拶の分離礼や同時礼、敬語の使い方など、真剣ながらも楽しく学ぶことが出来た。

今回で3回松下先生のマナーセミナーに参加された方もおられたが、何回聞いても身につけておくと良い事ばかりで、原点に返った気持ちで聞くことが出来たと思う。

初めて参加された方も、松下先生のお話は大変為になるし楽しかったと好評だった。
今後働いている方は、企業の中で実践されると思うし、今後就労を目指される方も今日の研修が生かせれば良いと思う。

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○第3分科会 ~ジョブコーチについて学ぶ~ まとめ

テーマ「ジョブコーチとは」事例を通してジョブコーチ支援の実際を知ろう
講師: 島根障害者職業センター 主任 障害者職業カウンセラー 堀野 修氏

参加者:43人(企業5人、当事者11人、支援者21人、他6人)、島根障害者職業センター11人

【研修報告】
初めに、島根障害者職業センター川谷所長様より御挨拶をされ、次に堀野様よりお話しをいただく。

1.ジョブコーチ支援対象者の状況報告
平成21年度実績合計は34人、平成22年度実績合計36人で、平成23年10月末実績合計は33人と今年度は利用状況が多い。

2.ジョブコーチについての代表的な質問について
ジョブコーチ支援はどういう人が利用できるのか?ジョブコーチを派遣してほしいときにはどこに申し込んだらよいのか?
・ジョブコーチの支援は、雇用の前後を問わず、職場適応を図るために事業所内に障害のある方を支える体制を構築する必要がある場合に職業リハビリテーション計画に基づいて、障害者と事業主双方が同意の上で実施している。
ジョブコーチの利用を希望される障害のある方は、求職登録をされているハローワークまたは障害者職業センターに直接連絡する。
ほか6件例をあげられる。

3.ジョブコーチによる支援の枠組み、タイミング、期間等の説明
対象者との面談、事業所訪問などを行い、状況の把握・分析を行う。「障害者」と「事業主」の同意のもと、職業カウンセラーが支援計画や出張計画を立てる。書類の手続きを行う。未成年の場合は同意書が必要。原則1人の障害者を2人のジョブコーチが支援する。費用は無料。タイミングは、①雇用前(実習)②雇用前(実習)~雇用後 ③雇用と同時 ④雇用後。期間は1カ月以上7カ月以内で個別に設定。

4.支援の実施
(集中支援期)ジョブコーチが主体となり、課題に対する支援を集中的に行う。
(移行支援期)必要な支援を継続しながら、支援主体をジョブコーチから事業所の担当者に徐々に移す。
(フォローアップ)支援期間終了後も必要に応じてフォローアップを行う。一人で仕事ができることを目指す。困ったことがあれば出向く。

5.ジョブコーチの種類
 配置型ジョブコーチ→島根障害者職業センターに勤務
 第1号ジョブコーチ→認定法人に勤務
 第2号ジョブコーチ→第2号事業所に勤務
 後半は、堀野様とカウンセラーの高見様とジョブコーチの片山様と北川様のジョブコーチ支援の実際についてディスカッションを行う。

6.それぞれの役割は?
・カウンセラー、事業主管理者の役割とジョブコーチの役割を協力しながら分担して行う。 
カウンセラーが実施の調整、事前のアセスメントを行い支援計画をたて、ジョブコーチが支援計画に沿って支援の実施を行う。ジョブコーチは職場での情報収集・環境把握・分析をする。

7.事業主のニーズの具体例は?
 障害者の受入に現場が不安を感じている。
 教え方を知りたい。 
 担当職務をみつけたい。
 ニーズを把握し、障害の知識に関すること、障害者への指導方法に関すること、障害者との接し方に関すること等、事業主側と障害者本人の不安を取り除き双方がジョブマッチングできるよう助言を行う。

8.障害者のニーズの具体例は?
 不安や緊張が強く、自信がない。
 作業能力があがらない。
 職場の人間関係に悩んでいる。

ニーズを把握し、現場に入って指導、助言を行う。挨拶のタイミングやコミュニケーションの取り方や、休憩のとり方やタイミング、作業のやり方(工夫、効率のよいやり方等)きめ細やかな指導、助言を行い、不安を取り除き仕事がやりやすいようにする。

9.支援機関との関わりについて
ジョブコーチは支援開始から目標達成が見込まれる段階に至るまで、徐々に支援を手控え、最終的にジョブコーチの姿は職場から消えていくことになる。全く支援がなくなるわけではないが、移行支援期やフォローアップ時に障がい者就業・生活支援センターに入ってもらう。支援内容の引継を行う。

(最後に)
 ジョブコーチは、障害のある人が仕事をする上で戸惑う事の手助けをされるほか、昼休みの過ごし方やほかの人とうまくやっていけるかなど、対人関係のアドバイスもされる。人間関係の橋渡しをする重要な役割をされている。また、企業にとっても有益である。障がいのある方と一緒に働く上での適切な対応の仕方や、作業環境や作業内容の配慮なども指導される。こうしたジョブコーチのきめ細やかな支援のお蔭で、企業とそこで働く方のジョブマッチングができている。今回の分科会をとおして、実際の支援方法についても学んでいただけたのではないかと思う。

今後もこういったジョブコーチ支援制度を利用し、障害者雇用がすすむよう我々も頑張っていきたい。
参加して下さったみなさま、島根障害者職業センターのみなさまありがとうございました。

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