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平成25年度障がい者一般就労体験発表会 レポート

平成25年度障がい者一般就労体験発表会 レポート

1.日 時:平成26年1月29日(水) 14:00 ~ 16:00

2.場 所:大田市民センター4階 

3.参加者:76名 スタッフ7名 計83名

4.主 催:大田障がい者就業・生活支援センタージョブ亀の子
      大田市就労支援部会(社会福祉課)

5.挨 拶:大田市就労支援部会 社会福祉課 清水課長

6.趣旨説明:大田障がい者就業・生活支援センタージョブ亀の子 主任就業支援員 黒田恵美子

7.内 容

大迫 充弘(おおさこあつひろ)氏(技術校から一般就労)

進行 ジョブ亀の子 後長 千晴

知的障がい。石見養護学校を卒業し、一度は家具屋へ一般就労したが、なかなか馴染めず離職。その後、島根県立東部高等技術校へ入校し、介護サービス科を卒業。障がいに理解のある株式会社海愛(のあ)へ就職した。勤務地は、グループホームふくろうの森。主な仕事内容は、トイレや玄関などの清掃、介助補助(利用者さんとの会話やお茶出し)。
 
①東部高等技術校 生活指導員 黒谷 恵民 氏
(東部高等技術校介護サービス科黒谷指導員から、技術校での大迫さんの様子をスライドショーで紹介)
 門限を破ったり日誌を忘れたり約束を間違えることが何度かあった。そのたびに叱るのだが、「すいません」と素直に謝り気をつけるようになっていった。素直さが大迫さんの良いところの一つ。
 また、介護実習中に、認知症の利用者さんが時間になっても戻ってこず、皆が心配して「探しに行こうか」という話になったところ、当の利用者さんが戻ってきた。そのときにかけた大迫さんは「おかえりなさい。楽しかったですか?」と声をかけた。普通なら「どうしたんですか?心配したじゃないですか?」と叱責気味に声を掛けるところだが、大迫さんはそうしなかった。優しさ人柄がにじみ出た一面であった。

②グループホームふくろうの森勤務 大迫 充弘 氏
(作業風景等をスライドで見てもらった後、発表を進行)
 就職してから、利用者への言葉遣いや接し方が分からず、よく叱られた。今は、利用者さんに親しまれ、「あっちゃん」と声をかけてもらえることが嬉しくて一番のやりがいだと言う。
 家具屋で働いているとき、働いている意味が分からず、他の従業員に「仕事はお金をもらえるからがんばれるし、お金があれば休みに遊びにだって行ける」と言われた。良い言葉とは思ったが、ピンと来なかった。今、ふくろうの森で働いていて「人のために何かしてあげること」が仕事をする意味なのだと思っている。


出口 成美(でぐちなるみ)氏(特別支援学校から一般就労)


進行 ジョブ亀の子 月森 博美

知的障がい。石見養護学校を卒業し、平成20年4月から、イオンリテール株式会社に就職(勤務地はイオン大田店)。
主な仕事内容は、「品出し」(商品をフロアに陳列する)。「チアーズクラブ」(イオンのボランティア活動)の運営担当も任されている。

③イオンリテール株式会社イオン大田店 主任 谷口 康弘 氏
(イオン大田店谷口主任から出口さんの様子をスライドショーで紹介)
 冷凍食品や豆腐の品出しをしている様子を紹介。ボランティア活動も行っており、お店の周辺の清掃活動の様子を紹介。

④イオンリテール株式会社イオン大田勤務 出口 成美 氏
 母親がイオンに勤務していたこともありもともとイオンに興味があった。石見養護学校在席中、イオンで実習を数回行い夏休みにはアルバイトにも行った。内定が出たときは嬉しかった。仕事の内容は品出し。今では、どこに何が置いてあるか、全て覚えている
 就職したての頃は、つらくなったことや悲しくなったことがいっぱいあったが、今は殆どない。
 半年に1回、契約面談というのがある。先日の契約面談では、「部署のリーダーになってほしい」「他店(ライバル店)の陳列を見て研究してほしい」と言われ、やる気が沸いてきた。どんな人にも好かれる人でありたい。いつでも笑顔で対応していきたい。
 「復旧、復興のお手伝いがしたい」という思いから、東北地震の復興ボランティアにも4回参加した。
 陸上にも力を入れており、三瓶高原クロスカントリー大会で入賞した賞状などを誇らしげに掲げた。


松本 由紀(まつもとゆき)氏(障がい者就労支援事業所から一般就労)


進行 ジョブ亀の子 黒田 恵美子

高次脳機能障がい。大型ダンプカーの運転手だった。くも膜下出血により、高次脳機能障がいを発症。右半身にもマヒが残る。亀の子工房で福祉就労中に、チャレンジ実習を経て、平成25年10月から菅公アパレル株式会社に就職(勤務地は、菅公アパレル株式会社大田工場)。主な仕事内容は縫製。

⑤菅公アパレル大田工場 生産課長 矢倉 秀和 氏
(松本さんの仕事の様子をスライドや動画を用いて紹介)
 通常、縫製の作業は両手で行うのだが、松本さんの場合は右手がマヒし使いにくいので左手のみで行っている。器用に行っている。今、菅公アパレル大田工場から生産された縫製品の殆どは松本さんの手が入っている。
 一般就労を目指す方へ「約束事を守ること」、「報告・連絡・相談(いわゆる「ホウレンソウ」)を逐一行うこと」、「就労支援事業(職場実習)をどんどん使うこと」の三点が大切とし、受入事業所側は就労支援事業(職場実習)をぜひ活用して障がいへの理解を深めてほしいとした。

⑥亀の子工房 職業指導員 加納 靖浩 氏
 病気により、利き腕にマヒが残り、最初はすごく落ち込んでいた様子があった。しかし、持ち前の明るさと不屈の精神で、一歩一歩着実に進んでいった。
 亀の子工房では、まず、左手で作業ができるようにしようと左手での文字書き訓練や、パソコン操作などをとことん繰り返した。
 工房では、印刷業務を担当していたが、最初の頃は失敗の連続であった。しかし、繰り返し作業の中で、「完成見本を作る」などの工夫を見出し、間違いを少なくする努力をした。 
また、大田市立病院の作業療法士と連携し、高次脳機能障がいに対するリハビリ方法などを学んだ。会話中合いの手をうつのをやめて松本さんがしゃべり終わるまで待つというリハビリ方法を亀の子工房でも実践してきた。その結果、亀の子工房にはなくてはならない存在となった。
 職場実習は、1年半で10回。41日間という数を重ね、一般就労に向けて努力し続けた。一般就労にこだわったのには、自動車運転免許の再取得と将来のための貯金をするため。このように、明確に働きたいという意志やその理由をもつことが、一般就労を目指す者にとって重要ではないか。

⑦菅公アパレル大田工場勤務 松本 由紀 氏
(黒田支援員と一問一答の形式で進行)
病気で急に倒れたときも持ち前の明るさと根性で障がいを受け止め前向きに頑張れた。一般就労で大切だと思うことは大きな声であいさつすること。休まないこと。分からないことはなんでも聞くこと。
これからは小遣い帳をつけて免許の再取得や貯金をがんばりたいという。


質疑応答

質問 休日の過ごし方は
大迫氏 バイクでドライブに行ったり、買い物に出かける
出口氏 母と買い物
松本氏 掃除や洗濯などの家事

質問 給料の管理や使い方
大迫氏 親にあずけて管理してもらっている
出口氏 母にあずけてその中からお小遣いのようなかたちでもらう
松本氏 グループホームの世話人に手伝ってもらっている

質問 ストレスの発散方法は
大迫氏 職員や家族に相談する
出口氏 スノーボードに行ったり相談をする
松本氏 スマホで携帯ゲームをする

質問 在学中にがんばった方が良いことは
大迫氏 何でも経験してみること
出口氏 あいさつ、報告・連絡・相談、メモをとること、体力をつけること
松本氏 休まないこと、遅刻しないことをこころがける

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