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平成27年度島根県障がい者就労支援ネットワーク強化・充実事業 障がい者一般就労体験発表会 レポート

1.日 時: 平成28年1月27日(水)14:00〜16:00

2.場 所: 大田市民センター4階 

3.参加者: 55名 スタッフ7名 計62名

4.主 催: 大田障がい者就業・生活支援センタージョブ亀の子
       大田市就労支援部会(総務福祉課)

5.感謝状贈呈式:
(職場実習を新規に受け入れされた事業所に副市長より感謝状贈呈)
 ・石見大田税務署
 ・志学保育園
 ・社会福祉法人昇陽会 障がい者支援センターひまわり
 ・株式会社しろがねの里
 ・株式会社ナフコホームプラザナフコ大田店
 ・株式会社ゆのつ ふれあい館
 ・株式会社みしまや大田長久店

6.挨 拶: 青木副市長

7.趣旨説明: 大田障がい者就業・生活支援センタージョブ亀の子 主任就業支援員 黒田恵美子

8.内 容:

【発表】

道畑 尚矢(みちばた なおや)さん

 さひめランドリー和田社長と道畑さんの紹介と、道畑さんのさひめランドリーでの様子等を動画を用いながら説明。道畑さん作文発表後、問答形式で加納支援員が和田社長と道畑さんとやりとり。
 
 知的障がいあり。石見養護学校を平成23年度(平成24年3月)に卒業し、すぐにさひめランドリーへ就職。
養護学校時代からさひめランドリーで実習していた。

(道畑さんから、就職に至る経緯と仕事の様子や自分の思いを発表)

 石見養護学校2年、3年時に合計5回実習。夏の暑さに慣れるため1週間臨時実習を行う。気温は40度、流れ出る汗を止めるためバンダナを巻いていたが、絞れるくらいの量の汗が出ていた。働く厳しさを学んだ。社長から内定をもらうが、自分が働いていけるか不安だった。
 「元気な声で挨拶・返事をする」「周りが気になってもよそ見をしない」に気をつけて、最後の実習に挑み自信が持てるようになった。
 就職後、帽子やエプロンたたみの仕事で「サイズがバラバラ」「スピードが遅い」と注意を受け、徐々にストレスをためるようになった。
 ジョブ亀の子の支援は就職と同時に入る。加納支援員から、「わからない時はメモを取り、確認する。それでもわからない時は、先輩に聞くようにして、聞いたことをメモに残す」とアドバイスをもらう。ミスも減り加納支援員に相談して良かったと思う。
 道畑さんにとって働くこととは、生きていくために必要なこと。仕事がないと給料がもらえない。お金がないとご飯も食べれないし、欲しいものも買えず、生活ができない。また、仕事を休むと職場の方に迷惑がかかるのでなるべく休まないようにしている。

(さひめランドリーの和田社長と問答形式で、さひめランドリーの紹介と道畑さんの概要説明)

養護学校時代、実習の様子はどうでしたか?
  道畑さんの印象が、おとなしく、顔を真っ赤にして黙っていた。「どがなかいな?」と心配だった。実習を行うにつれ、挨拶をするようになり、従業員と話をするようになり、良くなっていった。

雇用理由は?
  ちょうど仕事が増えてきたところだった。道畑さんの仕事ぶりを見て、ひたむきさを感じ、早いうちにつばをつけた。まじめで一生懸命。この子なら大丈夫だなと思った。

会社の中で障がい者、健常者の区別はされているか?気持ちの変化は?
  障がいにひっかかりがあった。理解度に不安があった。就職してから1、2か月悩んでいたよう。続くか心配だった。しかし、健常者ができることも、努力すればやってくれることがわかった。

仕事の注意をされているか?
  挨拶と返事と礼儀を何回となく注意してきた。報告・相談がなかったので注意をした。他の従業員も一緒。同じように注意してきた。区別していない。

どのような方であれば企業として雇用されるか?
  失敗してもいいので、一生懸命であればいい。言葉は出にくくても、態度で一生懸命に必死になってやっているということがわかれば雇用につながると思う。

今後、道畑さんに期待することはなんですか?
  上司のいうことがほとんどだった。これからは自分で少しづつ、どうやったらうまくできるか、どうやったら昨日より早くできるか考えてもらいたい。若いのでもう少し元気を出してやってほしい。

(道畑さんと加納支援員が問答形式でやりとり)

夢はなんですか?
  一人暮らしをしてみたい。自分の家族を持ちたいので、子供もほしい。結婚したい。

休日の過ごし方は?
  邑南町でバレーをしている。練習後は家でゆっくり休んで、翌週の仕事ができるようにしている。3月の下関の大会に向けて練習している。

仕事で大変なことは何ですか?
  たたむ以外に年1、2回三瓶青年の家に行き、3,000枚ある毛布とシーツをたたんだり取り付けたりしている。 

実際仕事をしてうれしかったことは?
  就職でき、働き続けていること。

初めての給料はどうしましたか?
  うれしかった。その給料で、車や携帯を買った。

お母さんに生活費を渡していますか?
  渡している。

 さひめランドリーの和田社長の障がいの壁を本人の持っている力で越えさせようとする見守りの姿勢に頭が下がる。障がい、健常関係なしで注意をされるが、それに一生懸命答えようと努力する道畑さん。お客様のためにどうしたらいいのかを常に考え、前向きに頑張っている姿を見て、参加者も一般就労にむけて必要なことをたくさん学ぶことができた。

渡邉 幸奈(わたなべ ゆきな)さん

 知的障がいあり。石見養護学校を平成22年度(平成23年3月)に卒業し、すぐに特別養護老人ホーム湯の郷苑グループホームだんらんへ就職。

 養護学校時代から湯の郷苑で実習を行う。本人が湯の郷苑で働きたいと希望し、当時の進路教諭と両親が熱く願われ、吉村苑長がグループホームだんらんの清掃業務に就職決定される。卒業後、トライアル雇用とジョブコーチ支援を併用し仕事をされる。視覚的にわかるように、写真画像とチェックシートを作成し、必ず見てチェックすることを癖付した。ジョブ亀の子の定着支援も入る。1年7カ月経過後、仕事でなかなか定着しないところをジョブコーチのフォローアップに入ってもらう。就職してもう少しで5年になるが、1度も「仕事に行きたくない」と思ったことはないという。素直で明るい性格が周囲をなごませてくれている。

 特別養護老人ホーム湯の郷苑の様子等を、動画、スライドを用いて紹介。渡邉さんの作文発表後、吉村苑長からのコメントを三井支援員が代読し、また、渡邉さんと問答形式で三井支援員とやりとり。

(渡邉さんから、就職に至る経緯と仕事の様子や自分の思いを発表)

 希望通り湯の郷苑で就職することができうれしかった。自宅から通勤している。勤務時間は7時45分から15時45分で仕事内容はトイレ掃除・玄関掃除・ゴミ集め・食器洗い・食堂の床拭き・廊下掃除・居室掃除・曜日ごとにゴミ出し。
 掃除が雑になったり、元の場所に戻すのを忘れることがあるので、スケジュール表と写真やチェック表と作業日報を作成してもらった。
 気をつけていることは、利用者さんと職場の方に明るく挨拶することと健康管理。健康管理の秘訣は、毎日20時就寝、6時起床。
 卒業前に車の免許をとった。毎日自宅から仁万駅まで自分で運転して行き、仁万駅から温泉津駅までJRを利用し、温泉津駅から湯の郷苑までバスを利用している。毎朝家を出る前にお母さんから「ゆっくり丁寧に、元の場所に戻すこと」と念を押される。「もう、うるさいなあ」と思うこともあるが、「私のことを思ってくれているのだなあ」と思う。お父さんも、JRが止まったり遅れて来るときは、送迎してくれる。休まないことを1番に考えている。「私が、元気に仕事ができるのは、家族の協力と駅員さんやバスの運転手さんがとても親切にしてくれるから。とても感謝している」と渡邉さんの晴れ舞台を見にこられていた母と支援者の涙をそそっていた。

(吉村苑長からのコメント)

 平成22年6月。石見養護学校の進路指導部の先生から、一度実習をさせてもらえないだろうかと、飛び込みの申し出があった。当時、養護学校の生徒にどう接していいか戸惑いがあったが、先生の熱意もあり実習だけ受け入れた。渡邉さんは言われたことは真面目にこなせるが、一度に複数のことを覚えることができなかった。年が明け再度先生から実習希望があり、内部検討した結果、グループホームでの環境整備の仕事を引き出してもらい実習を10日間行った。一つ一つ指示があればできるし、真面目でなんといっても明るい性格だったので馴染めたよう。小規模ならではの、間違いにすぐ気づき訂正することができる環境だったので、職員から渡邉さんにいてもらったら助かると声があり、採用することにした。
 現在、フルタイムでもなく正規職員でもないが、1日7時間週5日体調不良や忌引以外休むことなく、ジョブ亀の子の支援を受けながら真面目に働いている。これからも笑顔の絶えない職員として長く勤めてもらいたい。

(渡邉さんと三井支援員が問答形式でやりとり)

給料は何につかいますか?
  漫画本を買う。
  CDを買う。
  家にお金を入れている。

休みの日は何をしていますか?
  月に1回、お母さんと出雲に二胡(にこ)を習いに行っている。

目標は?
  このまま仕事を長く続けること。

 渡邉さんも素直で明るい性格が功を奏している。指導する側も育てやすいと思われる。通勤時に利用するJRの駅員やバスの運転手がとてもかわいがってくれている。渡邉さん自身が職場や両親や周りの方に感謝して毎日を過ごされている。仕事に関しては、これからまだ課題は出てくるであろうが、ジョブ亀の子を利用し頑張って乗り越えられると思う。

月森 彬人(つきもり あきひと)さん

 株式会社食肉公社の様子等を、スライドを用いて紹介。月森さんと問答形式で月森支援員とやりとり。島根県食肉公社 代表取締役専務 熱田氏より動画でメッセージを流す。

 知的障がいあり。出雲養護学校本校を平成12年度(平成13年3月)に卒業し、すぐに三谷板金へ就職。訳あって3年で離職。その後、なかなか就職先がみつからず、両親が経営する有限会社しまねモーターで9カ月間車の整備補助の手伝いをする。お父さんの紹介で平成17年から社会福祉法人亀の子の豆腐工房で訓練開始。祖母の介護の助けになればと平成18年4月から島根県立東部高等技術校の介護サービス科に入校され、ヘルパー2級を取得される。卒業後、社会福祉法人放泉会に就職。長久町のゆうイングさわらびで3年間清掃業務等をされ、異動で池田町のさわらび苑に行かれ同じような業務をされるが、また異動と言われ、それが嫌で離職。その後、平成25年4月から亀の子遊亀館配食サービスに就職。一般就労を目指し日々頑張られる。平成26年5月島根県食肉公社見学し実習をする。チャレンジ実習10日間で、会社の評価は、大きな声で挨拶ができる等とても良い評価をもらい、平成26年9月島根県食肉公社就職。仕事内容は、豚の洗浄・豚の追い込み、牛の内蔵洗い。勤務時間は8時30分から17時。

(月森さんと月森支援員が問答形式でやりとり)

一般就労しようと思ったきっかけは何ですか?
  一昨年の障がい者一般就労体験発表会を聞いたから。
  家族を支えるため。

仕事で大変なことは?
  入社した時はにおいが少し気になっていたが今では完全に慣れた。
  立ち仕事で時々足がつることがある。

仕事で楽しいことは何ですか?
  最近は豚の時にいろいろな仕事ができること。(脂肪上げ、製品の移動)
  いろいろな人との会話が楽しい。

休みの日は何をされていますか?
  バレーボールで邑南町の矢上に行ったり、瑞穂の元気館で月2、3回練習をする。試合が近くなると1日練習がある。
出雲のフィットネスクラブへ通っていて、2年半になる。

体調管理はどうされているか?
 疲れているときは早く寝る。
 ご飯をたくさん食べる。

仕事を続けていく上で大切なことは何ですか?
 報告・連絡・相談をすること。

今後の目標は?
 今までのところは短期間でやめていたので、今度は長く10年以上は勤めたい。

みなさんへのメッセージは?
  僕は一般就労を経験して何回も失敗と成功の繰り返しをしてきている。小さい時に知的障がい者と診断された。一般就労は楽なことばかりではないが感謝をしながら生活しています。

(熱田専務からメッセージ)

 現在従業員103名雇用。27年度の年商事業計画は43億3千百万円。牛と豚の食肉処理・加工・販売を行っている。島根県内では1箇所しかない会社。「肉」があるから笑顔が生まれ皆さんを楽しく幸せな気持ちにしてくれる。カレーライスもそうで肉がなければできない。とても大事な食材。その肉一切れ一切れは正に命そのもの。そうした命の最前線で月森さんはしっかりと与えられた業務に対応してくれている。彼の雇用により障がい者の社会参加への社員の意識変化、企業の社会的責任への関心など形には見えない効果も少しずつ高まっていると思う。月森さんの雇用により健常者と障がいがある人が共に生きていく社会を作る事の大切さを実感している。

 亀の子工房から月森さんに月森支援員が関わり、信頼関係が構築されていると感じる。
今度は長く勤めたいと目標を持っておられ、熱田専務からのメッセージを聞かれ、ますます頑張ろうと思われたよう。企業の社会的責任を社員一丸となって果たそうとされる思いが、障がい者健常者の壁をなくしている。月森さんはこの発表会に参加して一般就労を目指され希望が叶い、主催者側はこの発表会をして良かったと思う。引き続き月森さんのようなケースがあればいいと思う。

質疑応答

事前質問内容回答者回答内容
仕事を覚えるためにどんな工夫をしましたか。 道畑さんメモをとること。
渡邉さん作業日報を小さくしてポケットに入れ仕事前に見る。
月森さんたまにメモをする。わからない時は上司に聞きに行く。
障がい者に仕事を教えるために会社がどんな工夫をしてくれましたか。 道畑さん職場のみなさんと同じようにしています。
渡邉さん自分が失敗した時に職員さんが教えてくれる。
月森さんわからない。みなさん優しく接してくれる。
和田社長できる喜びを与えられるようにしている。1つできたら次へ、次はちょっと難しいことをさせてみる。失敗したら注意して、失敗しないようにする。
仕事をしている中で、苦労していることは。よかった(うれしかった)ことは。 道畑さん苦労したことは、三瓶青年の家の毛布とシーツを外しにいくこと。うれしかったことは、就職できたこと。今も続けていること。
渡邉さん苦労したことは、ゴミを捨てる量のタイミングがわからなかったこと。うれしかったことは、利用者さんから「ありがとう」と言われたこと。
月森さん苦労したことは、手荒れがひどくなったこと。良かったことは、忘年会に参加すること、誘ってもらうこと。
今、任されている仕事について、どんなことに一番気をつけていますか。 道畑さん品物をきれいな状態でお客様に届けられるようにしている。
渡邉さん利用者さんや職場の方に、病気をうつさない、そして病気にならないようにしている。
月森さん牛や豚を大切にして、豚の追い込みの時にあまりたたかないようにして、そのまま行かすこと。
働くときに一番大事だと思うのは何ですか。 道畑さん挨拶、返事、報告。注意されたら、メモをとりミスのないようにする。
渡邉さん健康管理。
月森さん報告、連絡、相談。


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