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平成30年度島根県障がい者就労支援ネットワーク強化・充実事業 障がい者一般就労体験発表会 報告

1.日 時: 平成31年1月23日(水) 14:00 ~ 16:00

2.場 所: 大田市民センター4階

3.参加者: 91名 スタッフ9名 計100名

4.主 催: 大田障がい者就業・生活支援センタージョブ亀の子
      大田市障がい者自立支援協議会就労支援部会

5.感謝状贈呈式
(職場実習を新規に受け入れされた事業所に大田市役所健康福祉部部長より感謝状贈呈)
・小川工業
・社会福祉法人 島根県社会福祉事業団 清風園
・大田市立病院

6.挨 拶
大田市役所健康福祉部 部長 大谷 積 氏

7.趣旨説明
大田障がい者就業・生活支援センタージョブ亀の子 所長 黒田 恵美子
大田市役所 地域福祉課 障がい者福祉係 持田 結貴

8.内 容

有限会社小川商店 昭和シェル石油 大田給油所
鹿毛 強(かも つよし)氏

鹿毛さんの仕事の様子をパワーポイントや動画を用いて紹介。その後、鹿毛さんと三井支援員の問答形式でのやり取りと作文発表が行われる。最後に、有限会社小川商店 代表取締役社長の小川様よりコメントをいただく。


【鹿毛さんと三井支援員が問答形式でやりとり】
仕事のやりがいは何ですか?
お客様に自分の顔を覚えてもらえることです。
「がんばってるね!」と声をかけてもらえるのがうれしいです。
仕事で大変なことはありますか?
車の種類に応じた方法でオイル交換をおこなったり、車の不具合などを状況に応じてお
客様に伝えたりすることです。また、新しく入ってきた社員の方に仕事を教えることも
大変だと感じています。
困りごとや悩みごとがあるときには誰に相談しますか?
仕事で困ったことがあったときには、会社のマネージャーに聞くようにしています。
仕事で心がけていることを教えてください
お客様の信頼を損なわないようにすることです。
具体的には、よく来られるお客様への対応方法をきちんと覚えておき、お客様の要望にこたえられるよう、先を読んで行動するようにしています。
ストレス発散方法やリフレッシュ方法はありますか?
家族と行ったことがない場所に出かけて、紅葉などきれいな景色を見たりすることです。
お給料は何に使っていますか?
貯金しています。残りは家に入れたり、必要なものを買うお金に回しています。
休日は何をして過ごしていますか?
家族とドライブに出かけたりしています。
働くうえで大切なことは何ですか?
お客様や職場のみなさんとのコミュニケーションです。また、お客様に笑顔で接客することも大切にしています。
今後の目標や夢は何ですか?
目標は、乙種第4類危険物取扱者の資格をとることです。
夢は、自分の好きな車を買うことです。プリウスPHVがほしいと思っています。
これから就職を目指す後輩たちへ
職場の先輩が言うようにやってみること、最初からできないと決めつけるのではなく、まずはやってみることが大事だと思います。

【鹿毛さんから、仕事の様子、自分の思いなどについて作文発表】
私は、出雲養護学校高等部の3年時に、小川商店で夏と冬の2回実習をおこないました。小川商店での実習は学校の先生の紹介で決めました。初めての実習は不安なことばかりで、特にお客様や従業員のみなさんと話をするのが苦手でしたが、少しずつコミュニケーションがとれるようになりました。この実習をとおして人とかかわることの大切さを学びました。就職してからも、初めの頃は、給油口のキャップをしめ忘れるミスをしてしまったり、漢字の読み書きに時間がかかったりしていましたが、自分なりに努力して克服することができました。例えば、給油口のキャップをしめ忘れないようにするために、手の甲にキャップをしめると書いておいたり、スムーズに漢字の読み書きができるよう、漢字を形で覚えるようにしました。
就職して1年9ヶ月が経ち、職場の方に自分が教えることも増え、強い責任感を感じています。これからも持ち前の笑顔と明るさで仕事をがんばっていきたいです。

【有限会社 小川商店 代表取締役社長 小川様からのコメント】
鹿毛さんの採用は最終的には自分が判断しましたが、大きなきっかけは、実習に来たときの鹿毛さんの姿に好印象を受けたマネージャーからぜひ一緒に働きたいという声があったからです。現場では人一倍早く動いたり、声も今日とは比べ物にならないくらい大きな声で接客をされています。給与体系も他の従業員と変わらず、どの作業もできる人になっており、資格取得も目指しています。最終的には、サブマネージャーのような役職にも就いてほしいと思っています。


株式会社 石見銀山生活文化研究所
道下 邦賢(みちした くによし)氏


パワーポイントを用いて、道下さん、川上支援員より、就職してから現在に至るまでの様子や会社での仕事などについて発表が行われる。その後、道下さんと川上支援員の問答形式でのやりとりが行われる。最後に、株式会社 石見銀山生活文化研究所 課長 宇谷様よりコメントをいただく。

【道下さんからのお話】
~会社に就職するまで~
私は「今の職場とめぐりあえて良かった」と実感しています。という言葉はどの職場でも言っていることですが...。冗談はこれぐらいにして、本題に入ります。私の山あり谷ありのお話をさせていただきます。
私は24歳のとき統合失調症という精神障がいをおいました。その時、仕事はおろか日常生活を普通におくるのも困難な状態でした。不安定でつらい日々が長く続きました。ひきこもりがちで、生活習慣の乱れもあり、体重が100㎏を超えることもありました。
それから3年後、27歳のとき、社会福祉法人亀の子に出会いました。亀の子工房印刷班に入り訓練を始めました。それに加えグループホームタートルホームへ入居しました。印刷班での訓練では、チラシの印刷、名刺や年賀状の作成、地元の小学校さんの卒業文集の印刷などを行っていました。印刷班のリーダーをつとめることもあり、それを通して、仕事に必要な技術と人とのコミュニケーションの仕方を学びました。タートルホームでの生活ではもめごとと事件がたえることなく色々な意味でいい経験になりました。慣れていくうちに、同じ入居者との会話を楽しむほどに生活の充実感は増していきました。同時に共同生活の難しさも痛感しました。亀の子の行事では、福祉大会で発表する寸劇の台本を作ったり、役者として演じたりすることもありました。(私のつくる脚本はやたらと人が詐欺にあうストーリーが多かったです。)亀の子で過ごすうちにだんだん元気になっていきました。亀の子で学んだこととしては、人生の主役は自分自身であること、ゆっくり、丁寧に、確実に行うこと、歴史から学ぶことは多いことです。私の中で大きかったのは悩むことから考える事に変化したことです。それと体重が80㎏台まで落ちました。
そして一般就労への意欲もわいてきました。一般就労の訓練は亀の子工房だけでなく、一般企業での実習をとおしても行いました。実習では、体調を崩しながらも様々な体験をしました。食料品店では商品の陳列と接客、ホームセンターでは店内放送をしました。(店内放送で一番覚えている内容は植物の盆栽コンテストの案内です。)電気部品製造会社では試作品の検査、自然館では研究資料の整理などを行いました。仕事に対する考え方もただ真面目にやるだけだったのが、途中からは仕事のおもしろさに気づき楽しむことが大事ということが分かりました。

~会社に就職してから~
36歳のとき、石見銀山生活文化研究所での実習に10日間チャレンジしました。その後、3カ月の委託訓練が決まった時、タートルホームを退所しました。(この時なごりおしかったです。)業務内容は各店舗への商品の出荷作業でした。体調を崩しながらもなんとか7月から雇用していただきました。8:45~16:00の勤務体制でそのときは、お仕事していたのですが、入社1年目は環境になじめず、欠勤することが多かったです。そこで提案をいただいたのが10:00~14:00までの短時間での勤務でした。それでもうまくやっていく自信がないまま、1~3年間は仕事を心から楽しくできていなかった様な気がします。そして4年目になって個人情報の入力と管理の仕事に出会いました。(ポイントカードを作られたお客様のお名前、住所、電話番号、などの入力が主)もともとパソコンによる作業が好きだったのもあって抵抗なく仕事に取り組むことができました。それに加えクレーム処理のデータ入力とお客様のアンケート結果の集計も行っています。だんだん、自分が必要とされているという感覚が芽生えてきました。このタイミングで体調を崩す日も減っていき、ひきずることもなくなってきました。(服薬量も減り、体への負担も減ったような気がします。)6年目になって経営管理室 システム部への配置がきまり、今まで以上にパソコン作業が増えました。現在はスキルアップのため宇谷課長、ご指導のもと、ACCESSというデータベースソフトの勉強中です。そしてお客様情報の伝票整理に苦戦中です。労働時間も8:45~14:15に延びました。今の職場の印象は上司が自分のことをよく見ていてくれる。的確なアドバイスをいただける。やさしくもあり、きびしくもある。自分の向き不向きを知っていてくれる。上下関係なく自分のことを認めてくれ、意見が言いやすく、のびのびと自由に働けると感じています。石見銀山生活文化研究所の社員として、精神の働きにより作り出したものを大事にし、発展させていくのが私の使命であると確信しています。
 私が仕事を通し気づいたことがあります。気づいたこととはモチベーション(やる気)を上げると必ずモチベーションは下がる。テンション(気分)を上げると必ずテンションは下がる。必要なのはパッション(情熱)であり、それが継続のコツだと思っています。
 私が気持ちを落ち着かせるためにやっていることがあります。
1死にたくなったら、筋肉トレーニングをする。
2リラックスしたかったら、好きな音楽を聴く(宇多田ヒカル・米津玄師・乃木坂46など)
3睡眠の質を高めるために瞑想をする。
4感情があふれ出しそうなときは、思ったことを書きなぐる。
5物事に感謝すると心に余裕が生まれる。
といったものです。あと体調を管理するため、毎日記録をつけています。アナログ的な方法ですが、手帳をそれに使っています。スケジュールとお金の管理もいっしょに行っています。自分の病状の傾向を知ることが成長の道だと信じています。「今までの経験は失敗ではなく、うまくいかない方法を沢山見つけただけだ。」と考えています。
これからの大きな目標は感謝の心を忘れずに、もっと人の役に立つ人間になること、それと障がい者と健常者とはお互いに特別に区別されることなく社会生活を共にすることが本来の望ましい姿であることを証明することです。(ノーマライゼーション)
そのためにもこれからも精進していきたいです。ご清聴ありがとうございました。

【道下さんと川上支援員が問答形式でやりとり】
働く上で大切なことはなんですか?
モチベーション(やる気)を上げると必ずモチベーションは下がり、テンション(気分)
を上げると必ずテンションは下がるため、必要なのはパッション(情熱)だと思っています。
ストレス発散方法やリフレッシュ方法はなんですか?
私の副業というか、もう一つの顔がe-sportsのプレイヤーです。一番力を入れている
のがストリートファイターです。毎日、ネット対戦で真剣勝負を繰り広げています。世
界ランキング40万位台とまだまだの腕前ですが、目指すは10万位台です。e-sportsは私のライフワークになりそうです。
これから就職を目指す方たちへひとことお願いします。
上手くいかないこともたくさんありますが、失敗することが大事です。恐れずにどんど
ん失敗してください。

【株式会社 石見銀山生活文化研究所 課長 宇谷様からのコメント】
道下さんと部署が一緒になって仕事を始めてからは2年くらいの付き合いですが、就職する前の話も聞けて良かったです。道下さんは、休憩中にも喫煙しないのに喫煙所に来て、他の社員と積極的にコミュニケーションを図ろうとする姿勢が見えるところも良いと思っています。ゲームが趣味という話はよく聞いていますが、やりすぎには注意してほしいです。睡眠が体調管理にとても関係してくるため、今後も体調管理は課題だと感じています。


株式会社 日立金属安来製作所 総務部施設管理グループ グループ長 企業在籍型職場適応援助者
森本 忠男(もりもと ただお)氏


パワーポイントを用いて、会社での障がい者雇用の取り組みについてお話していただく。

【森本さんのお話】
業種は鉄鋼業(特殊鋼の加工)。工場全体の従業員は1000人。そのうち障がい者は19名。総務部施設管理グループの従業員は23名で、その内障がい者は12名。内訳は身体障がい者2名、知的障がい者2名、発達障がい者8名と、発達障がい者が多いのが特徴。
支援側は森本様を含め職員3名がジョブコーチの資格を取得し、他、障害者職業生活相談員5名という体制をとられている。障がい者雇用に取り組んだきっかけは、2011年に鉄鋼業の障がい者雇用除外率が30%から20%に引き下げられ、日立グループの中で障がい者雇用率を達成していない事業所の1つに安来製作所がピックアップされたことだった。現在は雇用率2.39%。障がい者採用後、離職者はゼロ。当初は、障がい者を雇って何も仕事がなく、各部署を訪れて「何か仕事はないか?」と尋ねて歩いたが断られ続けた。
これでは無理と、積極的営業に切り替え「何かある!」「こうしてみてはどうだろうか?」と提案をしながら現場と一緒に考え、困りごとのあぶり出しを行っていった。依頼された仕事はそれ以上のものにして返すことで信頼関係が生まれ仕事は年々増えていった。現在、障がい者の方々はシュレッダー作業、社宅・寮など福利厚生施設の修繕整備、工場内緑地管理、間接業務補助作業、伝票整理、会場設営などの業務に従事している。それぞれ向き不向きはあるが、「これだけしかできない」と決めつけるのではなく、1人1人がすべての作業を経験し多能化を進めている。また仕事をローテーションすることでお互いの気持ちも分かり合える。障がい特性や聞いた情報だけで相手を決めつけず、良いところを探しながらお互いに足りないところを補っている。


株式会社 日立金属安来製作所
石倉 悠生 氏(いしくら ゆうき)氏


石倉さんより、幼少期から現在に至るまでの様子や会社での仕事などについて発表が行われる。

【石倉さんのお話】
 幼少期の私は鉄道が大好きで変わっている子どもでした。感覚でやる作業は苦手でした。小学校3年生になってからは、昼夜逆転生活になってしまい引きこもっていました。学校には1日2時間だけ通っていました。中学時代は2年生まで自転車に乗れず、学校で先生と練習をしていました。同時に、1日2~4時間、夕方6時まで先生と一緒に小学校からの勉強をするようになりました。中学2年生は自分にとって転機となりました。その後、松江市内の特別支援学校に進学しました。学校では先生との距離が近く何でも相談することが出来たため、安心感が生まれていきました。演劇も経験し、人前に出るのが好きになりました。2年生、3年生の時には様々な事業所での実習を経験しました。「まずはやってみよう」という気持ちで、自分にはどのような仕事があっているのか?どのような職場が自分にとって居心地が良いのか?など見極めを行いました。3年生の9月に行った実習で森本さんと出会い、1対1で話をしてくださったのが印象的でした。周りのスタッフの方の優しさもあり、安来製作所での就職を決めました。入社後は島根県東部発達障害者支援センターウィッシュの支援を受けるようになりました。最初の1年はシュレッダー作業や会場設営、荷物運搬等の業務に従事しました。日立金属安来製作所では、1人1人がプラスワンでレベルアップを図っています。仕事以外でもスタッフと関われるよう毎年駅伝大会も開催されています。仕事で不安なことがあればすぐに上司に相談し、ミスをしないようにしています。私は周りの人に支えられていると感じており、感謝しています。


質疑応答

質問内容回答者回答内容
①働く前はコミュニケーションは苦手だったか? 苦手を克服するために行ったことはあるか? 石倉さん小学生の頃から苦手で人に会うことさえ出来なかった。中学生になって職場実習や学校見学で外の世界に出るようになり、このままではダメだという危機感を持つようになった。
鹿毛さん苦手だった。高校時代は同級生と積極的にコミュニケーションを取るようにしていた。
道下さん苦手だった。相手のことを認め、相手の話をよく聞き、リスペクトするようにしている。
②早起きのコツは? 石倉さんテレビの見過ぎ、ゲームのし過ぎはいけないと思い、高校からしなくなった。遅くても10時より前には寝て8時間は睡眠時間を取るようにしている。
鹿毛さん特に意識はしていない。石倉さんと同じ。
道下さんゲームをしていて遅くなることがある。若い時よりも今の方がしている気がするが、それでも、10時~11時までには寝て、朝起きられるようにしている。
③ストレス対処法は? 石倉さん会社にいる仲の良い同年代の人と、休憩中に冗談を言い合ったり、悩み事を話したりして職場でのストレスを減らすようにしている。
鹿毛さんストレスを感じても、一晩寝たら忘れる。


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