トップページ > お知らせ > 令和元年度島根県障がい者就労支援ネットワーク強化・充実事業 障がい者一般就労体験発表会 報告

令和元年度島根県障がい者就労支援ネットワーク強化・充実事業 障がい者一般就労体験発表会 報告

日 時:令和2年1月22日(水) 14:00 ~ 16:00

場 所:大田市民センター4階 

主 催:大田障がい者就業・生活支援センタージョブ亀の子
    大田市障がい者自立支援協議会就労支援部会

参加者:90名 スタッフ10名 計103名

感謝状贈呈式:
職場実習を新規に受け入れされた事業所に大田市副市長より感謝状贈呈
・大田中央自動車株式会社
・有限会社みどりや

挨 拶:大田市役所 副市長 清水克典 氏

趣旨説明:
大田障がい者就業・生活支援センタージョブ亀の子 所長 黒田 恵美子
大田市役所 地域福祉課 障がい者福祉係 持田 結貴

内 容:
発表

原田 正博(はらだ まさひろ)氏
(有限会社 ドリームシステム ドリームデイいろり)

  パワーポイントを用いて、現在に至るまでの様子や会社での仕事などについて発表が行われる。その後、原田さんと川上支援員の問答形式でのやりとりが行われる。最後に、有限会社ドリームシステムドリームデイいろり松本施設長様よりコメントをいただく。

精神障がい(統合失調症)あり。平成8年3月亀の子村ファミリーワーク共同作業所、平成9年4月亀の子工房 豆腐工房での訓練、グループホームでの生活を始められる。平成25年10月より有限会社ドリームシステムのかじ山荘デイサービスセンターに就職される。施設が新しくドリームデイいろりに変わり、現在清掃業務を中心にされている。

(原田さんと川上支援員が問答形式でやりとり)
亀の子工房で訓練してよかったことは何ですか?
仕事をやめても一般就労をしたい気持ちはずっとあり、亀の子で就職に向けた勉強や訓練ができたことがよかったです。

現在のグループホームでの生活の良いところは?
食べたいものを好きな時間に食べ、好きな時間にお風呂に入り、自由に過ごせるところです。

実習では、どのようなことをされましたか?
折り紙で鶴を折ったり、傘を折ったりしたのを一番覚えています。笑顔が大事だと言われたので笑顔を出すことと、声を大きく出すことを目標にして取り組みました。

働く上で大切なことは何ですか?
きちんと食事をとることが大切です。

朝、昼、夕ご飯は自分で作っておられますか?
朝はヨーグルトとコーヒーだけですが、昼は自分で作って食べたりします。肉をよく食べます。夕ご飯は、弁当と食材を買って帰ってみそ汁を作って食べています。

仕事で心がけていることは何ですか?
清潔にすることです。お風呂掃除をする時に、髪の毛が落ちていないかなどきちんとキレイにすることを心がけています。

仕事をする中で大変なことは何ですか?
時間に追われることです。半年前くらいから利用者さんが増えてきて、午後3時くらいからお風呂掃除に取りかかるようになり、そこから仕事が終わる5時半までに全部しないといけないので時間に追われています。

いろりで長く働き続けられている理由、また、いろりの魅力はどんなところでしょうか?
仕事内容が自分に合っていると思います。また、昼からの勤務なので午前中に家事や買い物をしたりなど、生活とうまく両立できているので、今の働き方がとても合っていると思います。いろりの魅力は、キレイな人が多いところです。

これからの目標はありますか?
大きな目標はないですが、1日1日が無事に終わればいいなと思っています。

これから就職を目指す方たちへひとことお願いします。
今まで亀の子工房で3回訓練をしましたが、3回目の訓練を利用するまで気づけなかったことは「わからないことをきく」ことです。今まで忙しそうな時は、わからないことがあっても聞かずに、自分で考えて仕事をするとミスをしていました。忙しそうだと思い遠慮するのではなく、わからないことを聞くことが大切だと気づいてからは、わからないことをきちんと聞くように意識しました。皆さんもわからないことを聞かないまま仕事をせず、わからないことはきちんと聞くようにするといいと思います。

(有限会社ドリームシステム ドリームデイいろり 松本施設長様からのコメント)
かじやま荘時代から掃除、雑務をしてもらっていてとても几帳面な方だと感じました。当時の施設長から笑顔づくりから始めましょうと言われ、現在も利用者さんに対して心がけておられます。いろりになりとても広くなりましたが、職員の手がまわらない仕事をしてもらい助かっています。6年経ち、今後は趣味のコンサートに行ったり、新人さんの指導をしてほしいとの思いもあるので頑張ってもらいたいです。


三浦 慶子(みうら けいこ)氏
(株式会社 和田珍味)

パワーポイントを用いて、現在に至るまでの様子や会社での仕事などについて発表が行われる。その後、三浦さんと大野支援員の問答形式でのやりとりが行われる。最後に、株式会社和田珍味熊谷様よりコメントをいただく。

知的障がいあり。石見養護学校卒業後、17年務めてきた職場を退職してチャレンジ実習を経て、平成27年10月より株式会社和田珍味に就職される。平成30年8月グループホームでの生活を始める。

(三浦さんの発表)
亀の子との出会いは、以前の職場をやめ、仕事探しをするサポートをしてもらったのが始まりです。そして、現在のつとめ先の和田珍味で10日間チャレンジ実習をさせていただきました。実習のさいごの日に、亀の子さんと和田社長のところへ話を聞きに行き、明日からでもいいよと言われとてもうれしかったです。そして、翌月から勤めることになりました。仕事は実習の時と同じ内容で、魚の生処理をしています。初めは骨に身がたくさん付いていて、上手にさばく事ができず不安な日々を過ごしていましたが、1ぴきでも多くの魚をさばく事で、少しずつできるようになってきました。
今でも時々失敗はするけど、頑張って生処理をしています。分からない事やできない事は、上司や先輩に声をかけ助けてもらっています。時には壁にぶつかって、自分で自分をコントロール出来なくなり、仕事を辞めたいと思うときもありますが、そんなときは亀の子さんや親に相談してモヤモヤを聞いてもらったり、アドバイスをもらったりしています。

(三浦さんと大野支援員が問答形式でやりとり)
仕事をする上で大切にしている事は何ですか?
仕事の中で、自分1人でやろうと思わず、困った時には周りの人にSOSを出すことです。仕事をしていると、辛いこと、難しいこと、嫌になることも、たくさんあります。とにかく働くには我慢、頑張り、根性が必要だと思うのですが、私にはまだ我慢がたりないので仕事中イライラしてしまいます。そんな時は信頼できる上司に相談をして、「三浦さんしかできない事もあるから一緒に頑張ろう」「自分ができる事をやって無理するじゃない」と声をかけていただき、助けてもらっています。辛い事はあきらめずに頑張って、これからは人に助けてもらうばかりではなく、時には人を助けてあげることができればと思っています。これからも日々が勉強という思いを大切にして、1つでも多くの仕事を覚え一歩一歩前進して、少しでも多くの仕事ができるようになりたいです。

生活の中で楽しい事やストレス発散の方法を教えて下さい!
サークルのソフトバレーとプランターでの野菜栽培が楽しいです。栽培した季節の野菜を使って、いろいろな料理を作るのも楽しいです。グループホームで生活していますが、好きな物を好きなだけ食べていると病気になってしまうので、健康と栄養を意識して、自分で料理を作るようにしています。仕事が終わると「今日はどんなものを作ろうかな」と、わくわくした気持ちでグループホームに帰ります。

今後の目標を教えてください!
仕事ではきちんとコミュニケーションがとれるようになる事、自分の気持ちがおさえられるようになる事です。プライベートでは、亀の子やサークルのイベントに参加して、周りの人とコミュニケーションをとりながら、趣味を見つけて楽しむことです。そして私の一番の夢は、お金を貯めて家族と一緒に旅行する事です。

(株式会社 和田珍味 熊谷様からのコメント)
入社前に明日から三浦さんという方が来られるので頼むと言われどんな方かなと思っていましたが、とても頑張り屋さんでした。社長から「本当に来てもらって良かった、これからも頼む、この場で褒めてやってくれ」と伝言がありました。自分の持論で仕事と働くは違い、仕事は与えられた事をするが、働くは周りに気遣いしながら率先して行う、仕事から一歩進むと働く、まさに三浦さんは働いている。入社して4年が経ち安心しているので、これからも頑張って下さい。

(三浦さんから皆さんへのメッセージ)
働くうえで私が必要だと思っているのは、元気なあいさつと返事だと思います。学生の皆さんにやってほしい事は、きちんとしたあいさつです。仕事はあいさつで始まり、あいさつで終わるので、学校や家でもぜひ、元気なあいさつをしてみて下さい。そして、1つのことをあきらめずに頑張ってすることや、人の話をきちんと聞く事も大切です。話を聞かずに仕事をすると、失敗をすることがあります。報告、連絡、相談をきちんとする事で失敗を防ぐことができると思います。そして、報告、連絡、相談は、人とのコミュニケーションもとれると思います。皆さんも目標や夢をもって、頑張るという気持ちを大切してほしいと思います。


坂本 光崇(さかもと みつたか)氏
(広島アルミニウム工業 株式会社 総務部障がい者活躍推進課)

パワーポイントを用いて、会社での障がい者雇用の取り組みについてお話していただく。

(坂本さんのお話)
業種はアルミニウム製品及び樹脂製品の、製造及び販売に関する全般の業務。従業員数は2541名。そのうち障がい者は53名。羽釜の製造から始まり、無水鍋など開発。現在ではマツダ車の自動車部品製造を行っており、主にはエンジンやトランスミッションなどの主要部品を製造。

障がい者の方にやっていただく仕事内容は、フロア・トイレ・製造現場・緑化・外回りの清掃、一般事務・現場事務、鋳造工程の外観検査・仕上げ作業などがある。障がい者雇用の状況は、2018年まで雇用率が1.4%であったが、同年8月に障がい者雇用の促進をする為、障がい者雇用促進チームを発足。2019年には障がい者活躍推進課を立ち上げて、13名を追加雇用する事が出来ている。雇用率は2.35%に向上しており、全国平均は上回っているが、目標としている雇用率には未だ達していない。障がい者雇用の進め方としては、障がい者活躍推進課の促進チームが支援機関との取り次ぎ役として調整を行い、採用に当たっての本人と会社のマッチングミスを無くすために、工場見学・現場実習・面接を行っている。また定着支援活動では、3ヶ月周期の定期面談または不調時等の突発面談、本人の特性に合わせて、出勤時間・通勤時の服装・要配慮者用のリストバンド着用など合理的配慮を行い、社員教育として、社内研修や生活相談員の配置等を行っている。関係機関とは情報共有、ケース会議の開催などとても助かっているため、今後も本人の細やかな情報共有をお願いしたい。

終わりに、障がい者の方に入社してもらう事が目的ではなく、個人の適性に合った仕事を我慢をせず、元気に長く、働いてもらう事を目指していきたい。企業の力だけでは障がい者雇用と定着は進まない。個別の問題解決には支援機関との連携が必要なので、これからも、ご協力よろしくお願いします。


池田 僚(いけだ りょう)氏
(広島アルミニウム工業 株式会社 大国工場)

パワーポイントを用いて、池田さんより就職に至るまでの様子や会社での仕事などについて発表が行われる。その後、池田さんと黒田所長と問答形式でのやりとりが行われる。最後に、お母さんからのメッセージを読み上げる。

(池田さんのお話)
私は平成27年3月に出雲養護学校高等部を卒業しました。在学中に3回実習をさせていただき、福祉就労の就労継続支援A型事業所の亀の子遊亀館に内定をいただいて、その年の4月に就職させていただきました。遊亀館では、デイサービスでの、利用者様の介助やレクリエーションの進行、配食サービスでは、弁当の盛り付けや弁当配達、またぶどう園での農作業、委託作業など様々な業務に携わらせていただきました。自分の性格は、消極的で何事にも自信がなかったのですが、職員の方々が全力でサポ―トしてくださったお陰で、何事にも前向きに取り組めるようになったと思います。ぶどう園での作業では、暑さ寒さの中での作業で、辛い日もありましたが、貴重な経験をさせていただき、お陰で忍耐力が身につきました。

遊亀館に就労中、一般就労を目指していくつかの企業で、チャレンジ実習をさせていただきました。自分に合っている仕事は何なのかわからず、すごく悩んみ焦りもありました。平成30年9月に、広島アルミニウム工業株式会社大国工場に10日間のチャレンジ実習に行きました。仕事はいろんな製品や工具を使っての作業で、自分に覚えられるか不安でしたが、仕事にやりがいを感じ職場の雰囲気も良くて、ここで働きたいと思いました。そして、平成30年11月より正式に雇用して頂くことになりました。製造という仕事は初めてで、教えていただいてもなかなかその通りには上手くいかず、落ち込むこともよくあります。でも職員の皆さんの支えがあって、以前よりできる作業も増えて慣れてきたと思います。職場の方々に可愛がってもらって毎日仕事に行くのが楽しいです!この会社に入っての目標は、貯金をしてマツダ車を買うことと頑張って正社員になることでした。そして先日、目標だった車を購入することができました!まだまだ失敗して落ち込むこともありますが、広島アルミニウム工業に雇用していただくにあたって、お世話になった方々への感謝を忘れず、正社員になれるようこれからも頑張っていきたいです!

(池田さんと黒田所長が問答形式でやりとり)

一般就労と福祉就労(A型)の違いは何ですか?
A型は出勤時間が日によって違うが、今はフルタイムで残業もあり、給料も違います。
遊亀館(A型)でやっていた仕事で、どんなことが役に立ちましたか?
人とのコミュニケーション、共同作業、暑さや寒さの中で作業をし忍耐力がつきました。

どのくらいのタイミングで一般就労を考えましたか?
1年目は自信がなかったですが、遊亀館での作業で自信が付いて、一般就労を目指したいと思うことが出来ました。

実習は、興味がある企業だけで挑戦されましたか?
自分には何が合っているのか分からなかったので、色々な実習を挑戦してみました。

実習をする事は必要でしたか?
やりたい仕事を見つけられたので、必要だったと思います。

働きたいと思った一番の決め手は?
実習をさせてもらった時に仕事をする環境や人間関係が良く、働きたいと思いました。

健康でいるために気を付けていることはありますか?
毎日、帰宅後は手洗いうがいをして、8時間睡眠を心掛けています。それと毎朝R-1ドリンクを飲むことを5年間続けていて、風邪をひきにくくなりました。

休日の気分転換の方法を教えてください
ドライブや道の駅めぐり、マスキングテープ集めなど、趣味を満喫しています。

給料の管理はどうしていますか?
自分で通帳を持って、自分で管理しています。

家にお金を入れたり、貯金をしていますか?
家には毎月決まった金額を入れて、貯金もしています。

モチベーションを上げるために何をしていますか?
仕事と休日(onとoff)のメリハリをつけることを大切にしています。

仕事の中で大変だと思うことは何ですか?
初めてやることはなかなか覚えられない事と仕事の中でノルマがあり、時間に追われるときは大変だと思います。

仕事の中でやりがいを感じたり、うれしいと感じる時はありますか?
頑張って仕事をして褒められた時や、自分にとって難しい作業ができた時は嬉しいです。

しんどい時はどのようにして乗り切っていますか?
ため込まず、誰かにすぐ相談する。

壁にぶつかった時はどのようにして乗り切っていますか?
上司に相談して乗り切っています。

目標は達成できましたか?
マツダ車を購入しました。CX-30です。乗りやすく運転が楽しくなります。

将来の夢はありますか?
頑張って正社員になることです。

一般就労をして良かったと思ったことはありますか?
一般就労は責任感があり大変だけどその分世界が変わり得るものがたくさんあります。

(池田さんのお母さんからのお手紙)
息子は人とのコミュニケーションが苦手で、養護学校を卒業して亀の子に雇用してもらうことが決まった時も社会人として上手くやっていけるのかとても心配しましたが、亀の子の職員の皆様の力強い支えがあり、すごく安心できたことを今でもよく覚えています。一般就労のお話を頂いて、息子も一般就労に向けてチャレンジ実習など頑張っていたのですが、母親の私は一般就労させることがすごく不安でした。できることなら今のままがいいと思っていました。2018年の1月から広島アルミニウムに雇用して頂いて、仕事で上手く出来ずに落ち込む時もありますが職場でも人間関係に恵まれ、毎日いきいきとした息子をみて安心しています。これからも宜しくお願い致します。

質疑応答

①仕事をするときに心がけていることは?
原田さん:清潔にすること。匂いも出てくるので気をつけている。
三浦さん:自分一人でやろうと思わず周りの人にSOSを出すこと。
池田さん:報連相と自分から挨拶をすることを心がけている。

②休憩時間はどのように過ごしていますか?
原田さん:仕事が昼からなので、3時にタバコを1本吸うくらいで休憩時間はない。
三浦さん:休憩室でみんなでテレビを見てゆっくり過ごしている。
池田さん:はじめは一人で過ごしていたが他にも障かいのある人が勤めておられ、その方から話しかけてくださり、昼休憩を一緒に過ごしている。

A障がい者一般就労体験発表会 A障がい者一般就労体験発表会
A障がい者一般就労体験発表会 A障がい者一般就労体験発表会
A障がい者一般就労体験発表会 A障がい者一般就労体験発表会
A障がい者一般就労体験発表会 A障がい者一般就労体験発表会

|