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令和3年度 第3回地域の就労支援力の底上げのためのネットワーク形成・セミナー等の実施 報告

日 時:令和3年9月14日(火) 13:30~15:30

場 所:ハローワーク川本

主 催:大田障がい者就業・生活支援センタージョブ亀の子
     浜田公共職業安定所川本出張所
     石見大田公共職業安定所

参加者:9事業所 9名 ハローワーク3名 ジョブ亀の子4名  参加者合計16名

内 容:

障がい者雇用促進研修会開催にあたり、ハローワーク川本の西尾所長より開会の挨拶を頂く。

①制度説明

初めにジョブ亀の子より、センターが行っている支援内容の説明と、チャレンジ事業について説明を行った。 次にハローワーク石見大田の栗原様より、「もにす認定制度」「トライアル雇用助成金」「特定求職者雇用開発助成金」等、雇用に関する制度や助成金の説明があった。


②事例発表


公立邑智病院の総務経営課土井課長より、障がい者雇用の取り組みとして事例発表をして頂く。

令和3年6月1日時点で、精神障がいと知的障がいの方を3名雇用しており、公立邑智病院の実雇用率は2.62%となっている。調理師、調理員、技術助手としての雇用実績がある。調理師と調理員の業務内容としては、主に盛り付け、配膳、食器洗浄の作業を担当している。技術助手は環境整備、シーツ交換、車椅子整備、廃棄物搬送の業務を行っている。

事例発表では、勤務日数と勤務時間の調整、厨房職員への説明、スケジュール表を作成するなど配慮した点を挙げられた。また、障がい者雇用を継続するために、職員側の理解の必要性、雇用側より方針説明を正しく伝える、就労支援の活用について等の話があった。


③意見交換会


Aグループ、Bグループに分かれ、障がい者雇用について自由に意見交換を行った。

【Aグループ】
〇ハローワーク川本

  • チャレンジ雇用として雇用期間最長3年
  • 勤務時間、勤務日数⇒1日5.5時間、週5日
  • 業務内容⇒シュレッダー、PC入力業務
  • キーパーソンを決め、最初1ヶ月は週1回面談。その後は月に1回のペースで面談。支援機関の定着訪問あり。1行日記の形で、ノートのやり取りを行った時期もあった。

〇社会福祉法人石見さくら会

  • 環境整備での障がい者雇用⇒生活面での問題が理由で退職。
                 企業として、生活面まで見ることは出来ない。
  • 介護職での障がい者雇用 ⇒成長見られたが、腰痛があり将来に繋がらなかった。

〇老人ホームふる郷

  • あいサポーター支援事業所(施設内で研修実施)
    知的障がい⇒介護職の補助の補助といった業務。その方のペースに合わせた業務内容。
           親の介護に関する問題はあったが、現在落ち着いている。
    精神障がい⇒パニックが見られたが、短期間で治療され復職。親の介護問題、社会的資源を活用し良い方向へ。
    2名とも、困りごとはキーパーソンに伝える事が出来ている。

〇社会医療法人仁寿会
4月より週20時間の契約で、通所リハの運転手として雇用(精神障がい)。
先月より体調不良のため休業。期間関係なく、体調整うまで復職を待つ。

〇社会福祉法人吾郷会
精神、身体障がい者を7名雇用。法定雇用率3%以上。
受け入れ態勢として、職員が対応しているが、特に問題なし。
環境が大切だが、現在人手不足。心配事がある時は、無理な出勤を求めない。

〇社会福祉法人おおなん福祉会 あさぎり
法人内で3名障がい者雇用あり。
今年度に入り2名実習の受入れを行い、1名はチャレンジで終了。1名は現在委託訓練を行っており、自主的に仕事をされとても順調。
各企業より障がい者雇用についてお話頂いた後、フリーテーマにて意見交換。

  • 知的障がい者に対して、仕事のペースでクレームあり。
    ⇒周りの職員のペースはどうなのか?現場の効率に問題はないのか?みんなで理解・協力体制を取る必要がある。

  • 退職に至る原因として、施設側に問題あるのか?
    ⇒直接の原因とはならないが、人員不足のためキーパーソンを決めての指導が難しい。

  • 安定した雇用について、障がい者だけでなく、全職員のちょっとした変化(日頃と行動が変わった等)を感じた時の声掛けが大切。

  • 本人のペースに重きを置き、障がいとして捉えることはしない。

  • 新人教育プログラムをしっかり行う。
     ⇒人によって能力に差があるため、1年かかっても職員が付き添って指導する。
      新人教育は、個々に合った設定で職員がプログラムを作成し、障がい者として差を付けず見守る。ダメな場合は指導方法に問題があることもあり、指導者に悪い部分はきちんと伝え、配置替えをして見直しを行う。

  • 学習障がいと思われる職員への対応難しい。
     ⇒出来る部分を見つけ、そこを伸ばそうとしたが、出来ることが見つからなかった。

  • 企業全体で価値観の違う若者が増え、指導が難しいと感じるが、こちらも合わせる必要性あり。
     例)対面は苦手でも、ラインでのやり取りはスムーズに出来る。

【Bグループ】
〇置名土木 有限会社
養護学校2年生の実習受け入れを予定している。実習内容は、危険ではなく体力的にきつくない作業(ごみの分別、草刈り後の集積など)を予定している。
実習自体初めてなので、どう対応してよいのか分からない部分が多い。

〇株式会社 ワイテック 石見工場
 製造2名、環境整備1名、製造メンテナンス1名の合計4名障がい者雇用している。4名のうち1名はグループホーム入居、他3名は自宅より通勤している。環境整備の1名は勤続7年を迎え、無期雇用になっている。レベルはそれぞれだが、障がいの枠にはめ込まず対応している。

(工夫している点)

  • 理解度は個々によって違うので、印・テープ・表などを使っている。
  • 現場において、障がい者に指導員が1人つくことはせず、責任者が定期的に確認をしている。
  • 会社全体で、その人が出来る仕事を作っている。

〇西日本農業研究センター大田研究拠点
発達障がいの方を2名雇用している。リストアップした業務の中で、職員がついて作業の選別を行った。作業手順書は、文字のみだった物を写真付きに改善した。現場では職員同士のコミュニケーション(話し合い)をしっかりとった。障がい者雇用はマッチングが重要となる。

〇山興緑化 有限会社
障がい者雇用について、これからだと考えている。
障がい者雇用の際のポイントについて話し合う。

  • 精神障がいの方は気持ちや体調には波がある。
  • 覚えるまでに個人差はあるが、根気よく気長に見守る。最初の段階できちんとした指導が大事。
  • 社内で障がいについての教育はしているか?
    ⇒障がいについて、ある程度の知識や配慮があると良い。
  • やったこと、できたことを評価して、本人のステップアップに繋げるよう工夫している。

地域の就労支援力の底上げのためのネットワーク形成 地域の就労支援力の底上げのためのネットワーク形成
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④障がい者雇用促進研修会を終えて

この度の障がい者雇用促進研修会において、既に障がい者雇用をされている企業は、障がいのある方との関わりの中で独自の配慮や対応など、試行錯誤を重ねながら支援されていることが伺えました。また、職員数の減少により、指導できる人員確保の難しさも伝わりました。雇用を検討されている企業にとっては今後の参考になる内容の会になったと感じました。

働くことへの意欲や目的、物事の考え方など時代の変化に伴い、障がい者雇用はより困難になるかもしれませんが、この研修会での繋がりを今後の障がい者雇用や支援に活かして頂ければと思いました。

発表頂きました、公立邑智病院 総務経営課課長土井様、大変貴重なお話を聴かせていただきありがとうございました。参加いただいた企業の皆様、ありがとうございました。

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