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令和3年度 島根県障がい者就労支援ネットワーク強化・充実事業 障がい者雇用事業所視察研修(安来)

日 時:令和4年3月23日(水) 9:00~16:00

場 所:社会福祉法人亀の子遊亀館3F(大田市長久町長久ロ267-6)

視察先:株式会社日立金属安来製作所 山手工場
    社会福祉法人せんだん会
    ワークセンターやすぎ CafeGrill どじょっこ(A型事業所)

主 催:大田障がい者就業・生活支援センタージョブ亀の子

参加者:17名

視察報告:

株式会社日立金属安来製作所 山手工場

  班長浦田様の案内で名刺・伝票整理の見学、係長安達様の案内でスキャナー見学、グループ長森本様より概要説明と取り組み内容のプレゼンをしていただく。

パソコンを使い証明写真・名刺・固定資産ナンバーの作成作業をされていた。証明写真は、写真データの色編集や指定サイズに納まるようバランスの微調整を行い、きめ細かな仕事をされていた。固定資産ナンバー作成業務は、専用の道具を用いて作業されていた。専用の道具を作製してもらうまでは、シールの貼り付け位置がずれて大変だったが、専用の道具を使用することで作業が容易になり効率が上がった。名刺作成については、誤字のないよう一文字ずつチェックを行い、一枚の名刺につき必ず2回誤字や脱字の確認をする。名刺裏面は英字表記になっており、スペルに苦戦することがあると話された。

伝票整理業務は、資材伝票を五十音順に並べていく。最初は読み方が分からない漢字があり仕分けに苦労したそうだが、きちんと確認することでミスなく作業出来るようになった。また、漢字・カナ読みで五十音順一覧表を作成したことで、作業がスムーズになったという。作業を終えた後は「プラスワン」としてインデックスや背表紙を付け、依頼された方に「見易くなった」と喜んでいただき仕事のやりがいを感じるという。

朝礼で午前のスケジュール、昼礼で午後のスケジュールを伝えることで、見通しを立てて作業を進めることが出来ている。作業は必ず正・副の2名で行い、納期優先のものから進める。作業を担当されている吾郷さんは、「どの作業も集中力は必要だが、色々な作業が出来ることは楽しい」と話された。

スキャナー業務は、過去のデータを一日3,000枚、月に5~9万枚のデータ処理を行っている。皆さん2週間程度で作業を覚え、一人立ちされていると伺い驚いた。データ処理の納期は、ある程度部署に任せてもらっているため残業はない。作業の中で他の情報が入らないよう、型をはめ必要な部分だけ見えるようにしている。また、机や椅子を個別のサイズに合わせストレス軽減につなげている。他にも足元に台を置くなどの工夫が見られた。席を窓際に配置することで、外の景色を見ながらストレスを溜めずに作業出来るよう環境作りをされており、あらゆる面での配慮が伺えた。月に一度班会を行い、皆さんが話をする場を設けておられる。

障がい者雇用事業所視察研修(安来) 障がい者雇用事業所視察研修(安来)
障がい者雇用事業所視察研修(安来) 障がい者雇用事業所視察研修(安来)

会社概要について、森本様よりお話していただく。業種は鉄鋼業(特殊鋼の加工)。工場全体の従業員は900名(8部門)。そのうち障がい者雇用は21名(雇用率2.67%)。今回見学させていただいた総務部施設管理グループは従業員20名。そのうち障がい者は10名(内訳は身体障がい者1名、知的障がい者1名、発達障がい者8名)。発達障がい者が多いのが特徴。

障がい者雇用に取り組んだきっかけは、2011年鉄鋼業の障がい者雇用除外率が30%⇒20%に引き下げられ、日立グループの中で障がい者雇用率を達成していない事業所の1つに安来製作所がピックアップされたことだった。2015年に発達障がい者の雇用数が8名となり、何の業務をさせれば良いのか大変な時期はあったが、現在に至るまで採用後の離職ゼロが自慢だと嬉しそうに話されたのが印象的だった。

障がい者の作業内容について、従来からの業務は緑化作業補助、不要書類シュレッダー、鉄板札の製作、社宅・寮・小口修繕補助、会場設営、社内郵便仕分けがある。新規業務創出に着眼点をおき、工場内の隠れている「困った!」を常に意識して各所に営業で足を運び、相手に対策を求めず提案する形をとり、現場と一緒に考え困りのあぶり出しを行った。依頼された内容に「プラスワン」することで信頼関係を築き、業務量は年々増加した。現在は各種伝票仕分け、スキャナー作業、名刺・証明写真作成などの業務も担っている。今は頼まれごとが多くなり、キャパオーバーで断っている状況という。

個々の特性を見抜き業務配置を行う中で、勝手な思い込みで特性を決めつけるのではなく、苦手でもチャレンジすることで、時間はかかるが新たな発見がある。受け入れる障がい者の特性は周囲にきちんと伝え、職場の全員が支援スタッフとなり、「目配り」「気配り」「心配り」を心がけ、同じ作業に対して指示内容が食い違わないようにすることが支援のポイントになるという。また、具体的に褒めることで成功を意識させ、可能性を引き出し背中を押してやることも必要という。指示の方法について、手抜きや横着な指示は相手に上手く伝わらない。

障がい者本人の心得としては、体調管理が最重要事項となる。業務の中では、何でも「ハイ」と返事をするのではなく、分からないことはきちんと「分からない」と伝える。不安なことは話す=放すことで楽になる。就労して報酬を得ることで、生活能力を身につけ、自覚や自立に繋げてほしいとの思いが強く伝わった。

次に、当事者である石倉様にお話していただく。雇用までに実習を重ねたことで、安心して入社出来た。困りごととして、人の表情変化に敏感な所があり、ネガティブに考えることで疲れて眠れないことがある。一人で落ち着く時間を作ることで解消されると話された。業務の中で複数指示されると処理ペースが落ち、自分なりの解釈で作業を進めるとミスがあり注意される。怒られることでプレッシャーが大きくなり、ミスが続出してしまう。セルフケアとして、自分のルーティンを守ることが先決と考え、きちんとコミュニケーションを取ることで職場の理解を得ている。仕事のストレスは、休日に競馬のレース情報をインプット・アウトプットすることで解消している。資格取得は仕事に対する意欲を示すこととなり、名前を憶えてもらえるきっかけとなった。特定作業に対して前向きな姿勢で取り組み、経験を積み重ねることで、上司に認めてもらえる存在となり、仕事が楽しくなったと話された。悩み事はみんなで話し合い、受けとめてもらえる支援があることで、長く働き続けることが出来ていると感じておられた。堂々とした発表から、前向きな姿勢が汲み取れた。

最後に森本様より、「色々な辛い経験をしたかもしれないが過去は変えられない。未来をどう築いていくのか考えてほしい。障がい者だからといって会社は特別扱いはしないが、配慮はします。」と前向きになれるメッセージを送っていただいた。

障がい者雇用事業所視察研修(安来) 障がい者雇用事業所視察研修(安来)

【全体を通しての質疑応答】
Q:調子を崩された方への対応方法
A:悩みが原因で体調を崩す場合があるので、時間を取り体調不良の経緯を聞く。
  6月と12月に15分程度の個人面談を実施している。

Q:一日にどれくらいの量の仕事をしていますか?
A:一日7.5時間勤務。
  本人の体調に合わせた働き方が重要で、休憩の取り方はとても大事。
  特性を周りに知ってもらうことで、自分なりの休憩を取ることが出来る。

Q:今後の仕事の目標
A:自分で軽トラを購入し運転の練習をしたことで、全ての車を運転することが出来るようになり目標を達成した。
  言われなくても、自分で考えて行動出来るようになりたい、気配り出来るようになりたいと日々思っている。

社会福祉法人せんだん会 ワークセンターやすぎ CafeGrillどじょっこ(A型事業所)

CafeGrillどじょっこにてボリューム満点の昼食をいただく。
日替わりランチをはじめ多彩なメニューがあり、当事者の方が接客される様子を見ていると、常に周囲を意識した素早い対応、丁寧な接客をされていることが印象的だった。
カフェの他にも配食サービスや子供食堂もされている。配食サービスは年中無休で、治療中の方に「糖尿病食」「腎臓食」、その他「軟飯」「軟菜」「きざみ食」等、出来る限りご要望に応えておられる。子ども食堂は、食事を楽しみながら地域の子ども達の交流の場として開催しておられる。

障がい者雇用事業所視察研修(安来) 障がい者雇用事業所視察研修(安来)


✧参加された方の感想
【視察を通して、学んだことや気付いたこと等】

  • 働きやすい環境を作るため、窓側に席の配置をしていたり、作業しやすいよう改善したりしている所がすごいと思いました。
  • 雇う側の苦労。指示をする側もされる側も具体的に。
  • 離職者がないのは、実習を重ねマッチングしているのか見極めている。
  • 色々な業務で集中力が大事だということを学びました。
  • 出来ないからしないのではなく、出来るようにすることはすごいと思いました。机などを個々に合わせた高さにしてあり、仕事しやすい環境作りが良いと思いました。
  • 色々な障がいを抱えていながら、働いていることはすごいと思いました。
  • それぞれ自分に合った作業を正確にしていました。

【今後に活かせること】

  • 難しい作業を頼まれた時、無理と言わずとりあえずやってみようと思いました。自分の特性を理解して、少しでも仕事に活かせるようにしたい。
  • 就職した時には、メモを取ることと具体的に話をすることが活かせると思います。
  • 分からないことは、分からないと言う。過去は変えられないが、未来は築いていける。
  • 規則正しい生活をして、作業に集中し安全に取り組みたいと思いました。不安な時は、「人に話す=放す」と楽になるそうなので、今後活かしてみようと思いました。
  • 自分の行動を振り返り、出来るのにしていないことがあるので、これからはきちんとしようと思いました。
  • 毎日遅刻をせず、通えるようになりたい。
  • 目配り、気配り、心配りを心がけたい。

✧今回の視察研修において、大変貴重なお話を伺うことにより、支援者・当事者ともに今までの在り方を見つめ直し、今後の支援方法や一般就労を目指すにあたってどう在るべきなのかを考える良い機会となり感謝しております。

株式会社日立金属安来製作所山手工場関係者様、社会福祉法人せんだん会ワークセンターやすぎ CafeGrillどじょっこ(A型事業所)様、お忙しい中視察研修の対応をしていただきありがとうございました。また、視察研修に参加いただきました皆様、ありがとうございました。

障がい者雇用事業所視察研修(安来)

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