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令和4年度島根県障がい者就労支援ネットワーク強化・充実事業 障がい者一般就労体験発表会 報告

【日 時】 令和4年12月6日(火) 14:00 〜 16:00

【場 所】 島根県立男女共同参画センター あすてらす1階ホール

【主 催】 大田障がい者就業・生活支援センタージョブ亀の子
      大田市障がい者自立支援協議会就労支援部会

挨 拶: 大田市 副市長 船木三紀夫 氏

感謝状贈呈式:
(職場実習を新規に受け入れされた事業所に大田市副市長より感謝状贈呈)

  • きっちんK
  • 株式会社 サンマルコ
  • 株式会社 至誠
  • 株式会社 水利工材
  • 有限会社 石東林業商会
  • 島根中央信用金庫
  • stitch craft(欠席)
  • 株式会社 トウチュウ 温泉津事業所(欠席)
  • ホープ・ウィン(欠席)
  • ローソン・ポプラ大田中央店(欠席)

趣旨説明:
大田市 地域福祉課 障がい者福祉係 持田結貴 氏

内 容:
発表 

森本 忠男(もりもと ただお)氏
(株式会社 日立金属安来製作所 総務部施設管理グループ長)

※講師予定の村社広大氏は欠席のため、村社氏の現在に至るまでの様子説明や会社での仕事等を森本氏より紹介。

【発表内容】
〇村社氏の様子説明、会社での仕事等の紹介
村社氏は、2015年松江養護学校安来分教室卒業後、㈱日立金属安来製作所に入社。
在学中の職場実習について、1年生の時は、仕出し弁当を作る部門で、食材の下処理と洗浄。2年生の時は、ブルーベリー管理に関わる作業やゴミを分別する作業。3年生の時は、養護学校の先生に勧められて、㈱日立金属安来製作所で、不要書類の分別作業をした。全ての実習を終えて、㈱日立金属安来製作所で実習した作業が自分に合っていたことや職場が自宅から近いこと等の理由により、㈱日立金属安来製作所に入社することを決めた。
現在従事している仕事は、他部署の伝票仕分け、会議の会場準備、イベントの会場設営、落ち葉の回収、草刈り、シュレッダー作業。草刈り作業は資格が必要なため、刈払機取扱の資格を取得した。
最初の予定が急に変更されると腹が立ち、周りに聞こえない程度にぶつぶつ独り事を言っていたが、最近は朝礼や昼礼で明確な指示をしてもらえるので、独り言の回数が減った。
休日の過ごし方は、YouTubeの動画を見ることや松江や米子のゲームセンターでアーケードゲームをしたり、ガンダムシリーズのプラモデルを作ったりすることでストレスを解消している。
以前は、仕事で分からないことや指示の内容が分からない時、聞き返しにくかったが、支援スタッフから、「分からないことは聞いてください。」と何度も声を掛けてもらうことや、朝礼や昼礼で細やかな指示があることで、安心して作業が出来るようになった。

給与は、小遣い、貯金、家には生活費として決まった金額を入れている。20歳を過ぎてから親に促されローンを組んで軽自動車の新車を購入したが、移動手段は電車やバスを利用し車を運転することはない。車を買ったことは人生最大の失敗で、自分の意志を貫けなかったことを今でも後悔している。
会社生活で大切なことは、「分からないことがあったら、直ぐに聞く。」「分からないまま仕事をすると、周囲に迷惑をかけてしまう。」「勘違いしないように確認をする。」「挨拶をきちんとするように心掛ける。」
今の仕事を更に習得し、役に立てるよう頑張っていきたいと思う。

〇森本氏よりパワーポイントを用いて企業説明、障がい者雇用の取り組みについての発表
高級特殊鋼 ヤスギハガネを製造。刃物(5枚刃、3枚刃)、スマートフォンの金属シート、車の部品等。
従業員約800人、障がい者雇用者数約22名(2.98%)。
総務部施設管理グループ20名、内訳は障がい者11名(身体1名、知的1名、発達障がい9名)、 障がい者以外3名、支援スタッフ6名(障害者職業生活相談員)、内3名は企業在籍型職場適応援助者。
業務内容は、不要書類のシュレッダー作業、会場設営や緑地手入れ(芝刈り、草刈り、チッパー)、スキャナー作業、補助道具の製作等。
 障がい者雇用は、2015年から発達障がい者を雇っているが、離職者はいない。
採用は、学科試験なし。実習と面接のみで、実習を複数回実施していろんな作業をやってもらい、複数人のスタッフで確認。障がい名や思い込みで「出来ない」を決めつけない。「出来ないことではなく、何が出来るか?」を確認。
トライアル雇用3ヶ月⇒アルバイト採用⇒準員登用⇒社員登用。
障がい者の支援は、①具体的に指示を出す。②出来たことは褒める。③うまくできなかった時は、作業者の意見を傾聴する。④人によって症状が違うので、他者と比較しない。⑤返事の「ハイ」を鵜呑みにしない。本当に伝わったのか、確認が必要。メモで渡す、復唱させることも大事。⑥職場の全員が支援者になるように声かけ等をする。
指示を受ける時は、①体調管理が最重要。②「分からない」ことは「分からない」と言う。聞く勇気を持つ。③「不安」なことがあれば伝える。話す=放すことで楽になる。④やったことのない仕事に挑戦する。
 障がい者雇用の取り組み当初は、障がい者ヘの接し方が分からなく、声かけが逆にプレッシャーを与えていた。また、障がい者に対して、何もできないと誤解をしていたが、今は大切な会社の戦力であり、支援者と障がい者のコミュニケーションによりお互い支え合っている。

島田 優紀(しまだ ゆうき)氏
(株式会社 ジュンテンドー ブックセンタージャスト大田店)

【発表内容】
〇島田氏よりパワーポイントを用いて、写真とともに業務内容説明
統合失調症により約10年の療養期間ののち、4度の職場実習を重ね2017年9月に障がい者雇用でブックセンタージャスト大田店にパート社員として入社、書店員6年目。
仕事内容は、入荷から数ヶ月売れていない本や雑誌等を出版社に返すため、返品する本を専用の機械で読み取り箱に詰める作業、モップで本の上と棚の掃除、お客様に見えやすく手に取りやすいように、商品の整理整頓している。おすすめしたい本の魅力を伝えるために、POPやフリーペーパー、読書ノートを作っている。毎年、おすすめしたいと思った本に「島田賞」を贈呈している。また、お客様におすすめの本を投票してもらい、大賞を大きく展開する「推し本大賞」のフェアの企画等もしている。昨年の第2回島田賞は出版社の公式Twitterや作家本人のTwitterに紹介してもらい、とても盛り上がった。担当している棚がいくつもあり、2ヶ月に一度本の入替をしている。
発売前の本の見本や原稿を読み、感想を書いて出版社に送る仕事もあり、その感想が本の帯や新聞広告、出版社の公式SNSやホームページに掲載されている。
売場作り等で集中して作業すると、ペース配分が乱れて調子を崩すきっかけになることがあるので、1時間ごとに10分程度の休憩を取っている。職場の人の理解があり、楽しく仕事をしている。
仕事の疲れやストレス以外にも、気候の変化等の外的ストレスに対応できず調子を崩してしまうことがあるため、早めにリフレッシュ休暇をとり、体調面だけでなく、精神面の調子も整えておくことが元気に楽しく働く秘訣である。精神的な不調は目に見えないので、言葉で伝えることが難しく、他の人に症状が伝わらないので、自分自身の状態を話すようにしている。また、焦らずゆっくり進めて行くことは、人間関係や仕事においても大切である。人間関係は、時間をかけて信頼を築く。
仕事は、苦手なこともやらなければならない。「自分には出来ない」とすぐにあきらめるのではなく、相談や工夫することも働くうえでは必要である。

森 翔汰(もり しょうた)氏
(株式会社 ウシオ グッディー大田店)

【発表内容】
〇森氏よりパワーポイントを用いて、質疑応答形式で業務内容説明
(自己紹介)
知的障害で、療育手帳B。出雲養護学校邇摩分教室卒業。計算や漢字が苦手で、絵を描くことや整理整頓が得意。職場へは自宅から車で通っている。

(仕事内容)
勤務時間は13時~17時の4時間。月曜日と日曜日が休日になっており、休日は家でゆっくり過ごしている。日帰りで旅行に行くこともある。
業務は、飲料商品の品出しと前出しをしている。当日のチラシをみて、どの商品が売れているか考え、段ボールに入った飲料を台車にのせて品出しの準備や店頭の商品が綺麗に並んでいるか、パッケージが前に向いているかなど意識しながら作業している。他部署の品出しも手伝っている。

(質疑応答)
Q 養護学校時代から就労に向けて意識したことは?
A 学生時代は、夜遅くまでスマホやゲームをしていた。朝が苦手だったので早く寝て、起きるということを意識をして生活リズムを整えた。学校とは違い、社会に出て働きだすという気持ちを持つ。

Q 働く中で大切にしていることは?
A お客様への対応で、言葉遣いや態度を意識している。困っているお客様が居られたら、積極的に声をかけ手伝いをしている。お客様にお礼を言われた時や仕事を任された時にやりがいを感じ、仕事のモチベーションを大切にしている。

Q 未来の後輩たちに伝えたいことは?
A 学校生活で学んでいることを大切にする。勉強や挨拶や返事など、学校生活で学んでいることは社会に出た時大きな力になる。自分の好きなことや得意なことを見つける。人との関わりを大切にする。人と話すことやコミュニケーションが苦手な人も、まずは挨拶や返事など、出来ることから少しずつ頑張ってみる。

【質疑応答】

Q 人間関係で苦労することはありますか? その際はどう対応していますか?

森本氏
挨拶や返事など、コミュニケーションが取れれば困らない。苦手意識を持たず声掛けすることで、苦手な相手を好きになる。SOSを発信することで、周りの人が助けてくれる。

島田氏
色々と気にする性格のため、スタッフの態度によっては精神的にしんどくなる。その時は「触らぬ神にたたりなし」の精神でスルーしている。ただ「原因が自分でない」と自信を持って言えるよう、普段から言動には気を付けるようにしている。

森氏
人間関係の苦労は特にない。仕事のやり方や考え方で意見が食い違う時は、周りの方と相談しながら解決している。

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