トップページ > お知らせ > 平成27年度島根県障がい者就労支援ネットワーク強化・充実事業 岡山視察研修 レポート

平成27年度島根県障がい者就労支援ネットワーク強化・充実事業 岡山視察研修 レポート

1.日 時: 平成27年8月27日(火)・28日(水)

2.視察先: ①総社市役所
       ②倉敷障がい者就業・生活支援センター
       ③㈱旭化成アビリティ水島営業所
       ④社会福祉法人倉敷夢工房
       ⑤丸五ゴム工業㈱

3.参加者: 8名 

4.主 催: 大田障がい者就業・生活支援センター ジョブ亀の子

5.視察報告:

①総社市役所

 福祉課長横田様、障がい福祉係係長大西様、主事吉田様、渡邊様より総社市の概要をお話していただく。総社市の人口6万8千人で少しずつ増えてきている。災害の少ない土地。
 千人雇用をしようと思ったきっかけはH20年のリーマンショックの時からはじまった。有効求人倍率は過去最低の0、29倍。こんなときこそ支援すべきは障がい者、と考えられまず支援学校を誘致しようと頑張っていたが、隣の倉敷市に決定となる。誘致できなかったが、支援学校を卒業した後は総社市で働けるようにしようと考えられた。ハローワーク、企業関係者などで組織する障がい者千人雇用委員会を設置しH23年4月より5ヵ年計画で「障がい者千人雇用」が開始された。最初はハローワークに市職員が常駐していたが、H24年4月に「障がい者千人雇用センター」を設置された。ハローワークの2階に就労支援ルームを設置し、福祉から就労に向けてワンストップで付き添い型の綿密な支援を実施されている。また、週2回センターの方に出向されている。岡山県にはナカポツが3センターしかなく総社市にナカポツができないということでセンターを立ち上げられた。役割はナカポツとほぼ同じような仕事をされている。今現在の就労者数は865人(その内福祉就労の方は507人)。障がい者千人雇用を支える体制として総社市役所6名、ハローワーク総社、障がい者千人雇用センターの3本の矢で取り組まれている。
 就労が決まっても長く就労してもらうのが難しい。就労が決まったらゴールではなく、スタートです、と職員の方が言われていた言葉が印象的だった。
 就学前・就学時の情報の継続、就労期(18~65歳)では千人雇用施策のステップアップ、高齢期(65歳~)は安心した老後のための居住支援を目指しているとおっしゃていた。

就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート 就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート

就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート 就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート


②倉敷障がい者就業・生活支援センター

 大島所長様、入江支援員様にお話をしていただく。現在7名で仕事をされている。登録者約800人。新規の方の支援が優先になっている。新規相談は予約制になっている。すぐ相談ではなく、決めてすることで相談に来られる方も気持ちが落ち着き話を聞くことが出来る。圏域の中には2時間かけて支援に行かなければならない市があるので、なかなか支援が行き届かないのも現実と言われる。就労移行は5ヵ所、A型は年々増えてきている。送迎のあるA型が約20ヶ所あり、A型を利用される方が多い。A型を利用したいという方の登録はしていない。
 支援学校の校内実習の様子を企業の方に来てもらい、厳しい目で見てもらっている。
 H22年度からTEAM PLUSという地元企業から発信する「障がい者雇用について」考える会がある。障がい者雇用をされている企業、これから雇用を考えている企業、等今現在50社の企業が参加されている。会議には30社ぐらい集まると言われていた。企業主導で各種勉強会や、お互いの悩み相談などができる機会を設けておられる。
 最近では普通学校から進路説明会に呼ばれることが多くなってきている。
 総社市に就労される方は、本人の意向を聞き千人雇用センターと連携をとり、支援体制を整えておられる。

就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート 就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート

③㈱旭化成アビリティ水島営業所

 岩田所長様に会社案内をしていただく。東京、富士、延岡、水島と営業所がある。4営業所で従業員が223名、その内障がい者雇用の方が201名。水島営業所は57名の内52名の方が障がい者雇用されている。仕事の内容として、クリーニング、清掃(独身寮、庭等の整備)、印刷、OA作業、筆耕、仕分け発送(メール)、縫製、刺繍などがある。OA関係ではアビリンピックに出場し、世界大会に出場できる方もおられる程の腕前だった。書類を電子化する為に入力をされる方や、ホームページ作成、冊子、ポスター、チラシ、大団幕などたくさんの仕事をされていた。身体障がい者の方が主にされていた。クリーニングは旭化成の従業員さんの作業服を主にされており、800枚ぐらいあるということだった。その他、社員の独身寮の掃除業務があり、200室ぐらいを、7名の方で掃除をされておられる。空いた土地の草取りなどあるが、なかなかそこまで手が回らないと言われていた。

就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート 就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート 就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート

④社会福祉法人 倉敷夢工房

 CHALLENGEDという就労継続支援B型事業所でパスタをメインとしたランチを食べた後、三村理事長様に施設案内、説明をしていただく。現在登録26名、来年4名養護学校卒業生が入る予定。
 ランチはビュッフェスタイルで、スパゲティーが7種類ありその中から選ぶ。後はバイキングとなっている。注文を受けるのに沢山メニューがあるとパニックになるのでバイキングにされたそう。別室に小さいお子様と一緒に食事が出来るようなスペースを用意されていた。100円プラスの料金になるが、小さいお子様がおられる方はゆっくりと食べることができ、口コミで広がっていき、利用される方が多い。
 大豆は自社栽培をされていて、その大豆を使って豆腐を作っておられる。柚子コンニャク、パンを製造し販売されている。ももっちという、岡山県のキャラクターのお菓子をイベントがあるときは、200~300個作っておられるが、普段は60個ぐらい作って販売をされている。老人ホームなどに、注文があった個数だけお弁当を作っておられる。
 H9年から利用者5名でスタートをされ、たくさんの困難にも負けず頑張ってこられたという。利用者さんの協力がなくてはできない。福祉施設ではなく、企業としてとらえてやっている。とにかく情報収集をすることが大事だと熱く語られた。

就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート 就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート

就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート 就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート

⑤丸五ゴム工業株式会社

 松浦課長様より会社の概要をお話していただく。その後唐木次長様、原田課長様に2グループに分かれて工場内を案内していただく。大正8年足袋の会社からスタートされる。昭和29年丸五ゴム工業株式会社を設立、昭和35年本社工場を建設される。昭和37年矢掛工場を建設。2工場合わせて980人の従業員がおられる。生産品は防振ゴム製品(エンジンマウント、サスペンションブッシュなど)樹脂製品(エンジンカバー、ダクト等)ホース製品(燃料系・吸気系・水系などの各種ホース)シール製品(ガスケット、ブーツ等)全部で1万点ぐらいの種類を生産されている。
 障がい者雇用は本社で身体の方が4名知的の方が5名、矢掛で身体の方が2名、知的の方が2名就労されている。精神の方は今現在雇用されていない。以前数名採用していたが、長く続かなった。一人で作業される方もおられるが、ペアでしている方もおらるので現場の方が大変だと言われていた。最近、定着率はよい。7年ぐらい働いている方もおられる。ありのままを受け入れていますとおっしゃていた。基本的に8時間勤務で正社員になった方もおられる。出荷担当者の方は知的障がいだが、障がいがあることを言わないと外観だけではわからない。仕事も普通にこなしてくれると言われる。一度に多くの事を言うとパニックになることもあるが、その都度対処していくようにしていると言われる。企業同士の話し合いの場「チームプラス」に最初から参加されており、そこで障がいの特性を教えてもらったり、同じような悩みを持つ企業さんと話が出来るので良いと言われていた。工場の案内をしてもらっていると、職員の方が大きい声であいさつをされておりとてもいい会社だと思い聞いてみると、社員教育をされているということだった。

就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート 就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート


 最後に 先駆的な取り組みを行っておられる総社市役所、倉敷障がい者就業・生活支援センター、倉敷市の2企業、就労継続支援B型事業所を視察し、実際に働いておられる障がいがある方の様子を見せていただいたり、行政・ナカポツの方の生の声を聞かせていただき参考になる意見もでてとても勉強になりました。
 参加された皆様から「意識を高めなければ」「できることからやっていこう」と前向きな感想をいただきました。
 総社市役所、倉敷障がい者就業・生活支援センターの皆様にはお忙しい中、視察研修の段取りから当日の案内や説明まで、大変お世話になりました。ありがとうございました。

就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート 就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート

就労支援ネットワーク強化・充実事業 レポート

|