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平成29年度島根県障がい者就労支援ネットワーク強化・充実事業 障がい者雇用企業見学会 レポート

1.日 時:平成28年7月27日(木) 13:15 ~ 16:30

2.見学先:①トヨタカローラ島根株式会社 大田店(大田市長久町)
      ②有限会社祖式運送 長久作業所(大田市長久町)

3.参加者:11事業所 参加者人数11名 HW2名 ジョブ亀の子5名 参加者合計19名 

4.主 催:大田障がい者就業・生活支援センター ジョブ亀の子
      石見大田公共職業安定所
      浜田公共職業安定所川本出張所

5.視察報告
①トヨタカローラ島根株式会社 大田店

店長の月森様よりお話をしていただく。
現在会社として、点検の際には45分で整備を完了するようにしている。
整備の方が点検、洗車をしていると時間もかかり、お客様に説明する時間を確保するのが難しい。その中で手洗い洗車の作業を切り出し求人を出した。
その時に、ジョブ亀の子から山根さんの紹介があり、10日間の実習を経て雇用となった。
初めは40分くらいかかっていた洗車・車内清掃作業にも徐々に慣れて来られ、今では20分くらいで完了できるようになった。

工場に移動して山根さんの働く様子を見学する。
洗車が終わった車両の室内清掃をされていた。掃除機を使って車内を清掃し、フロアーマットのほこりや土を布団たたきで落とされる。
大変暑い中、作業着に汗をにじませながら作業をされていた。

店内に移動して山根さんも交えて話をする。
月森店長から、山根さんの仕事の様子について話をしていただく。
当初はこちらから指示を出していたが、時間が経つにつれ自分で考えて動けるようになった。整備車両の洗車や車内清掃の作業がない時には、自ら中古車の洗車や工場の中の清掃されたりと休まず何かをされている。とにかく真面目に黙々と仕事をされ、休むこともない。

質疑応答(山根様)
Q 就職して良かった点・苦労した点は?
A 良かった点は、収入を得る場を持つことが出来たこと。苦労した点は、就職したばかりの頃、車の清掃と洗車を早く終わらせることが出来ず、整備士の方に「もう少し早く」と言われることがあったこと。

Q しんどい時、つらい時はありますか?あれば、その時はどのように対処していますか?
A 今の時期は日中の気温が30度以上になり、汗もたくさんかくので大変。熱中症などで倒れないよう水分補給をしっかりするようにしている。

Q 仕事をする中で気をつけていることは?
A 車体が熱くなっているので、うっかり触れて火傷しないよう気をつけている。

Q お金の使い道は?
A 生活費や車の修理代に使っている。

Q 今の職場の人や環境について、どう思いますか?
A 皆さん優しく、仲良く仕事ができていると思う。時には厳しく仕事のアドバイスをしてもらうこともある。様々な種類の車を目にすることができるのも楽しい。

店長の月森様より、山根さんの業務についての評価や今後目指してほしい姿などについて話をしていただく。
山根さんの何事にも真面目に取り組む姿勢は評価できる、中古車の洗車や作業場の掃除など決められた業務以外も率先して行ってくれるので助かっている。
今後は、現場の求めるレベルにより近づけるよう作業のスピードアップを目指してほしい。障がい者雇用情報誌レインボーの記事にも書いたが、この仕事の「スペシャリスト」になってもらえるよう皆で応援していきたい。

質疑応答(全体)
○ 合同会社 アグリサポートおーなん 石田様
Q 今の給料で、生活のやりくりはできているのか?
A 給料と障がい者年金があるので、何とか生活はできている。車の修理代など、急な出費がある時には苦しくなる。

Q 洗車や車内清掃以外でこれから挑戦したいことはあるか?
A 今以上の仕事は考えていない、今の仕事を自分の中で極めていきたい。

○ 島根県西部発達障害者支援センター ウィンド 野村様
Q 趣味や好きなことはあるか?
A プラモデルが好き。母親には「いい年にもなってプラモデルなんてやめなさい」と言われるので、見つからないようにコソコソやっている。

障がい者雇用企業見学会 障がい者雇用企業見学会

②有限会社祖式運送 長久作業所

副所長の渡邊様よりお話をしていただく。
平成27年8月に開設し、㈱イワミ村田製作所の電子機器部品の包装用リール(大径・小径)のバケット詰め作業を行っている。
運送業務とは異なる業種となるため、作業所の仕組み作りをする必要があった。
そのため、設立当初からISO9001導入を推進し、平成28年5月 ISO9001:2015取得。
「働きやすい職場作り」を目標としている。
ISO9001に則り業務を行うことで、定期的に作業マニュアルの見直し・更新、改善点の洗出し・改善といったPDCAサイクルで業務を行うことや、作業所内の機器の定期検査、その他、事故・不具合発生時に原因を明らかにし適切な再発防止対策を取るなど、作業に携わる事で発生する様々な業務に対応できる作業所となった。

中田さん(知的障がい)
労働時間等:9時-16時 9時-15時(週29時間) 休日:金・日曜日 賃金:時給720円
業務評価:
 ・実習当初からまじめに前向きに仕事に取り組んで下さっている。
 ・欠勤・遅刻・早退等なく、本年4月からは就業時間も増え、元気に勤めて下さっている。
配慮事項等:
 ・障がいについては、作業指導担当者には知らせていた。(他作業者とのコミュニケーションもとれている)
 ・ずっと同じ作業をすると、集中力が欠けがちになるため、色んな仕事をしてもらうことで変化を持たせ、モチベーションを保てるようにした。褒めることを意識して行った。

Tさん(発達障がい)
労働時間等: 9時-15時(週25時間) 休日:土・日曜日・祝日 賃金:時給720円
業務評価:
 ・多様な作業への対応はできないが、指示された作業は忠実にして下さっている。
 ・報告・連絡・相談も自ら発する事は難しいので常に声かけは必要。
 ・欠勤・遅刻・早退等なく、通院の為の休み以外は皆勤。配慮事項等・他の作業者への周知で対応配慮のお願いをした。
 ・就業当初は、仕事が滞った時にパニックにならないか等心配し、無理のないペースで作業していただける様心掛けた。
 ・作業は1種類に限定し従事していただいている。
 ・新しい取り組み(例えば 作業開始前のラジオ体操の実施など)をする時などは亀の子の担当者の方に相談しながら実施した。相談しサポートしていただける体制があるので心強い。


質疑応答(中田様)
Q 就職して良かった点・苦労した点は?
A 良かった点は、お給料が今ままでの中で多くもらえること、苦労した点は、最初の日は体力がなく、慣れない仕事だったのですぐに疲れてしまったこと。

Q しんどい時、つらい時はありますか?あれば、その時はどのように対処していますか?
A 昼休憩の時に、車の中で時間になるまで目をつぶるようにしている。

Q 仕事をする中で気をつけていることは?
A 商品を落とさないように気をつけている。

Q お金の使い道は?
A 貯金

Q 仕事を続けるために必要なことは?
A 体力

質疑応答(全体)
○ 合同会社 アグリサポートおーなん 石田様
Q 自社では、障がい者と健常者の間で作業能力やスピード等について様々な摩擦が起きてしまう。御社ではどのように対応されているのか?
A 祖式運送では、摩擦は起きていない。障がいのある方の働きぶりは健常者と同じかそれ以上だと感じている。

○ 島根県西部発達障害者支援センター ウィンド 野村様
質問ではないが、祖式運送での仕事の進め方は発達障がい者の方にとってとても分かりやすく、作業場所や作業内容を本人の特性に応じて固定、あるいは変更するなどの配慮もされている。そういった様々な工夫によって、従業員の間に摩擦が起こることがないのではないだろうか。能力的に健常者以上の仕事をされているのではないかと感じることもある。
A 障がい者だからどうのこうのではなく、我々企業側の考え方を変えていかなければならない。

障がい者雇用企業見学会 障がい者雇用企業見学会


ハローワーク石見大田にて意見交換
1.参加者に自己紹介をしていただきながら、今日の感想・会社の状況を話していただく。
2.見学事業所における障がい者雇用の契機
・トヨタカローラ島根
 本社から社員の残業時間の削減指示があり、誰にでも出来る仕事を切り出し集約。
 ⇒障がい者雇用をすることで社員の労働時間経費縮減を同時に達成した。

・祖式運送
 人材を探していたが、労働条件等で希望求職者は限定されていた。
 作業内容から困難性の高い業務ではないと判断し、障がい者を雇用した。
 ⇒障がい者を試しに使ってみたところ十分に戦力になり欠員は解消した。

3.障がい者にかかる各種支援制度
  ※資料を配布

4.その他
 ハローワーク石見大田の中村様より、全国と島根県の雇用情勢について話をしていただく。
 全国での有効求人倍率は1.51倍と、バブル期以来の上昇を見せている。島根県の有効求人倍率は全国を上回る1.66倍となっている。
 現在、島根県の人口減少に伴い、労働力人口も減少しているが、障がい者の就業は増えているという状況である。

5.全体質疑応答
○ イワタニ島根 株式会社 横田様
Q どのような方に実習を勧めているのか?
A 基本的には、体調面や情緒面が安定されている方に実習を勧めている。また、実習を希望される本人と事業所とのマッチングが大事だと考えている。

○ 石見日東 株式会社 稗田様
Q 発達障がいとはどのようなものなのか?
A (ウィンド野村様に説明をお願いする)
発達障がいは大きく分けて、広範性発達障害、学習障害、注意欠陥多動性障害の3つに分類され、それぞれに特性がある。精神障がいとは異なり、同じ状態が永続的に続くというのが特徴である。分かりやすく言うと、"自分のやり方で生きていきたい方"である。

○ 株式会社 大屋ハイテック 河鰭様
質問ではないが、これから障がい者雇用を検討する企業として、障がい者と企業、さらに障がい者の就労支援に携わる関係機関等が集まり情報交換が行えるような機会を設けてほしいと思っている。密着して情報交換ができれば、雇用がさらに増えるのではないか、また企業側の意識改革ができるのではないかと考える。

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