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令和元年度 中小企業における障がい者支援担当者に対する支援 障がい者雇用促進フォーラム まとめ

日 時:令和元年10月8日(火) 13:30~15:30

場 所:あすてらす3階 研修室

主 催:大田障がい者就業・生活支援センタージョブ亀の子
    島根県、独立行政法人高齢・障害・求職者雇用支援機構島根支部、島根労働局

参加者:58名

内 容:
第1部 表彰式典
第2部 講演
〇「業務の切り出しから始まった雇用と今後の取り組み」
   講師:株式会社魚の屋 代表取締役 中島 勝徳氏
〇「周りの支援があって就労につながった」
   講師:有限会社祖式運送 長久作業所 中田 直也氏
第3部 養成講座
○「精神・発達障害者しごとサポーター養成講座」
  講師:島根労働局 精神障害者雇用トータルサポーター 門脇 史佳氏

大田障がい者就業・生活支援センタージョブ亀の子より、第2部講演の講師2名の推薦と講演内容の考案をさせていただいた。

第1部の表彰式典では、3名の方が表彰される。 障がい者雇用を考えておられる企業に向けて、障がい者雇用について再認識してもらう機会となった。

障がい者雇用促進フォーラム 障がい者雇用促進フォーラム
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第2部の講演では、地元大田の企業である株式会社魚の屋 代表取締役中島氏の講演という事で、参加者の中には中島氏の取り組みに興味を持っておられる企業が多く、足を運んでいただく良い機会となった。 障がい者雇用について「業務の切り出し」から始まり、現在と今後に向けての取り組みを、参加いただいた一般企業の方々に分かりやすい目線で講演をしていただく。 最初に、平成27年度に行った、障がい者雇用について、その当時の雇用は「義務的仕事」「義理的仕事」だったと振り返り、当時の障がい者雇用の継続の難しさを失敗ではなく、疑問や違和感として提起されていた。 そこから得た経験を活かし、障がい者雇用を念頭においた商品開発に取り組まれ、現在大ヒット商品となっている「最中スープ」が誕生した。平成31年4月より雇用されている養護学校卒業生2名の現状について、会社・家庭・養護学校・ジョブ亀の子との連携したサポートによる継続雇用の例をお話いただく。また、企業努力として、個人の能力や適性を見極めて、一人ひとりに寄り添った環境づくりをされている。後半は、社員側の負担として、現場の声を取り上げておられ、「だいたい」「これくらい」は言わない。一つの指示以外言わない。社員側の責任感と新たな発見として、「親心が芽生えた」「配慮・視野・視点が広がった」など、実際に現場で当事者と関わっていく事でしか得る事の出来ない内容をお話いただいた。最後に、障がい者雇用の見直しと4つのテーマとして「仕事に対してのやりがい・満足度・貢献度・会社においての存在価値」などがあり、障がい者雇用を特別なものと捉えるのではなく、社員の一員として当たり前の存在になれるように、会社全体で目標を掲げておられる。また、今後も毎年2名の障がい者雇用をしていき、数年後には10名体制の現場を作り上げる事が目標との事で、今後に向け企業として前向きに考えておられる事をお話いただいた。
講演を通して、数年間に及ぶ葛藤や試行錯誤の中で、障がい者雇用を通じて会社として得た物が形となり、今後に繋がっていく流れを具体的にお話いただき、参加された企業の皆様からは、「分かりやすかった」「勉強になった」との声が多く、障がい者雇用に向けて必要な事を知っていただく良い機会となった。

有限会社祖式運送長久作業所 中田氏の講演では、ご自身が養護学校を卒業されてから、現在の就労に繋がるまで学んできた事や、関係機関等の支援がどのようにされていたのかをお話いただく。平成25年3月出雲養護学校を卒業され、社会福祉法人亀の子(就労継続B型)を利用されていた。利用当初は、就労に向けての意欲は漠然としたものであった。B型での作業や職場実習等を通じて、就労という自立に向けての意欲が芽生えてきた事をお話される。就労までには、運転免許取得、障害者年金申請、金銭管理など多くの課題があったが、相談支援事業所、社会福祉協議会、就業・生活支援センターの支援を活用しながら、一つずつ課題をクリアしていった。その後、チャレンジ事業を利用した実習を経て、現在の祖式運送へ就職された。実習時や当初は難しかった事が、会社の配慮と就業・生活支援センター等の支援もあり、現在では会社を居心地の良い場所と感じておられる気持ちをお話いただく。最後に、ご自身の支援の輪を見ながら「ここまで来れたのは皆さんのおかげです」「ありがとうございます」と心からの感謝と、今後自立に向けての決意を胸に、前向きな様子で堂々とお話をしていただいた。
講演を通して、中田氏が学校卒業から現在までの6年間で学んできた事や感じた事を、ご自身の言葉と表現で参加者の方々に届ける事により、困難を感じながらも自立に向けて前向きに臨んできた姿勢を感じていただき、本人主体の支援の大切さを知っていただく良い機会となった。

障がい者雇用促進フォーラム 障がい者雇用促進フォーラム

第3部の養成講座では、精神障害者雇用トータルサポーター 門脇氏より、精神・発達障害者しごとサポーターについてお話いただく。精神・発達障害しごとサポーターとは、精神障害・発達障害のある同僚を、正しい知識と理解を持って、温かく見守り支援する応援者。一般企業で精神障害・発達障害の社員が増えており、職場で共に働く方が正しい知識を持ち、的確な接し方や必要な配慮ができる応援者となるための養成講座である。精神障害者、発達障害者の雇用は広がっているが、職場での理解者が少ないことで、就労の長期継続の難しさがある。応援者が増えることで、障害の有無に関わらず、職場の雰囲気や人間関係が良くなり、働きやすい職場環境が広がることが期待できる。「精神障害」「発達障害」は目に見えない障害であるため、障害の主な特性を知り、職業的課題についてどう接したらよいのか、ポイントを踏まえた対応方法が必要となる。また、障害者の病気との付き合い方を知ること、障害者雇用のキーワードを知ることで、より深い理解を得ることができる。そして、障害者雇用対策について、背景及び趣旨、日本における障害者の雇用法、現在の法律の概要等の知識と理解を身に付けてもらい、精神障害・発達障害のある方と一緒に働くのが当たり前の社会の実現が期待されている。
出前講座もあるとの事なので、この機会により多くの方に基礎知識を学んでいただきたいと思う。

障がい者雇用促進フォーラム

最後に、お忙しい中たくさんの方にご参加いただき、ありがとうございました。

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